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すいーと・すいーと

黎が管理・運営しているきまぐれブログです。 初めてお越しの方は、カテゴリー「about」内の「はじめに」という記事をご覧ください。 女性向け要素、同人要素を含みますので、苦手な方はご注意ください。

2024.11.22
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2009.05.20

まさかのザックラ更新がひと月振りとかですか……?(汗)
そ、そうか、5月入ってから戦BAの更新続いてたし、
思ってたほどは更新してなかったのか…!!(滝汗)

と、とりあえず、お久しぶりなザックラ更新です;;;
すみません…どうも更新がどこかに偏ってしまう奴でorz

本日アップしますのは、ザックスが実家に手紙を書く話。
ザックスのことだから、手紙とか、文章書くことって
きっと苦手だろうな~と思って(笑)
逆にクラウドは、まめに母さんに手紙書いてそうなので、
クラに手伝ってもらって手紙書くザックス、という構図です。

…まぁ、いろいろ言い訳はしてますが、
結局ザックスが惚気てる話なんだと思います(爆)

ところでザックラですが、実は甘いのだけでなくて、
切ないのも書いてみたかったり、
更にいうなら、幸せな話を書いているはずなのに
結末がわかっているふたりの話なので、
幸せなのが逆に切ない、というCPでもあるんですよね。
なんでこんな話をし出したかというと、たまたまBGMが
ザックラな切ない曲に変わったからなんですが。
某G様の「Last Song」という曲です。
この曲に沿って話書いてみるとかもいいなぁ。


さて、相変わらず前置きが長いですが…
お読みくださる方、どうぞ続きにお進みくださいませ!





 


「P.S」


  ザックスはがしがしと頭をかきむしり、うーんと呻き声を上げた。それを聞いたクラウドが振り向く気配がする。
「ザックス、どうかしたの?」
「うーん…」
「ザックス?」
  返事がないザックスに、聞こえなかったかと思ったのだろう、クラウドが軽い足音と共に近付いてくる。後ろからひょいと覗き込まれても、ザックスは慌てるでもなく、相変わらず呻くのみ。
「手紙?」
「うん…」
  それは返事というより、短い呻き声と表現すべきものだった。
「クラウドはさー、週にいっぺん、田舎の母ちゃんに手紙出してるだろー?」
「うん…あ、それで?」
「うん」
  クラウドをザックスの部屋に住まわせるようになってから、早ひと月。マメなクラウドを見ているうちに、自分も田舎に手紙を出すべきか、と思い立ち、紙とペンを出したまでは良かったのだが。
「手紙って…、どんなこと書きゃいいんだ?」
  ザックスは情けない声でクラウドに訊いた。
  そもそも村を飛び出して神羅に飛び込み、ソルジャーになったザックスは、今まで一度も実家に手紙を出したことがなかった。そうでなくとも、デスクワークが大の苦手なザックスは、文章を考えること自体も苦手である。結果として、目の前の紙には「父ちゃん、母ちゃんへ」だけが記され、次の行からは空白のままになっていた。
「勝手に村飛び出してから、もう何年も経ってるからな~…」
「え…。家出、してきたの?」
  クラウドの驚いた控え目な声にこくりと頷くと、ザックスは俯いていた顔を上げる。その様は、まるでシュンと耳を垂らして縋って甘える子犬のようだった。
「クラウドは慣れてるだろ? なんて書けばいいかなー…」
  普段ならあまり見せない弱った姿に、クラウドがくすりと笑う。ザックスが困って小首を傾げてみせると、クラウドは手短に答えてくれた。
「俺なら、最初に『元気ですか』って書いて、近況を書いてお終い」
「お願い! もーちょい具体的に言って?」
「駄目だよ、中身は自分で考えなきゃ」
「お願い、クラウド! 助けてくれたら、なんでもお前の言うこと1個聞くから!」
「え…、そ、そんなのいいって」
「頼むよクラウド~、この通りっ!」
  苦笑するクラウドは、それでもどこか満更でもなさそうで、じゃあ…と律義に考えてくれる。普段はザックスに助けられることの多いクラウドにとって、彼に助けを求められることは、どんな些細なことであっても嬉しいことだった。
「家出してきた…んだよね? きっと心配してるよ、勝手に飛び出したこと謝らなきゃ」
「うーん、そうか、そうだよな。えーと、急に村を、飛び出して、ゴメン…と」
  ザックスが書いている間、クラウドは覗き込みながらも待っている。デスクワークが苦手な割には読みやすい字が綴られていくのを見ながら、クラウドは自分のことのように考えて、手が止まるか否かのところで続きを話し出した。
「あの…さ、ザックスはなんで家出したの?」
「そりゃあ勿論、ソルジャーになりたかったからなんだけどさ。んなこと言ったら、心配するだろうなーって思って…」
「じゃあ、それも書いたらいいんじゃないかな。今は無事にソルジャーになって、頑張ってるってこともさ」
「待ったクラウド! 今書くから!」
  慌ててペンを走らせるザックスを見て、クラウドが笑っているのがわかる。今まで聞いたことのないザックス自身の話を聞けたことを喜んでいるのだ。無論、必死なザックスがそこまで気付くことはなく、代わりに喜んでこんなことを言い出した。
「なんかクラウド、マジで俺のお嫁さんみたい」
「っ!」
  クラウドがボッと赤くなる。嬉しそうに俺の手伝いしてくれてるし、と顔のデッサンを崩せば、何言ってるんだよとばかりに軽く小突かれた。ソルジャーとして過ごす日々、正直嫌な仕事をこなすことも少なくはない。それでも、こうして隣にクラウドがいてくれて、幸せだと思った。クラウドをこの部屋に住まわせることにした最初の日、クラウドの嫁入りだと喜んだザックスだったが、本当にどれだけ彼に救われていることか。
  クラウドに言われたように、近況として「念願かなって、ソルジャーでがんばってる」と書いたザックスは、お終い!  と明るい声を出した。
「えっ、それでお終い?」
「近況、書いただろ?」
「それはそうだけど…」
  他にないの? とクラウドが上目遣いに訊いてくる。そう言われては悩むしかないが、報告できそうなことというと、せいぜいクラウドとのことしか思い付かない。かといって、カレシできました…なんて書いたら、さすがにビビるだろうしな…。
「まぁ…、それでもいいかもね。ザックスらしくて」
「へっ??」
  あまりにナイスなタイミングで言われ、ザックスはドキリとして目を丸くした。しかし当然ながら、クラウドがザックスの考えを読んでいる訳はなく。
「これからもたまに手紙書くようにすれば、それだけでいいかも」
「あ、ああ。そっか」
「? まだ何かあるの?」
「いや、なんでもない」
  やっぱり「カレシできました」報告はやめておこう。
  それでもまだ手紙の空欄を見ているザックスに気付いて、クラウドは遠慮がちに距離を置いた。俺も書こうかな…との小さな呟きを聞き取り、振り向いてクラウドの背中を見れば、愛しいハニーブロンドが揺れている。
  ふとザックスは思い付いて、空欄に「P.S」と書き足した。クラウドに見られないよう、腕で手紙を隠しながら。きっと見られたら怒られる。いや、勘違いされて凹ませるかも。
「よしっ、今度こそお終いっ!」
  はつらつとした声で言うと、紙を探していたクラウドが振り向いた気配がした。
「何か書き足したんだ?」
「おう!」
  クラウドは詮索することもなく、にこにこと笑っている。きっと喜ぶよ、と自分のことのように言いながら。
「クラウド、いつか一緒にゴンガガに帰ろうな!」
「えっ…、う、うん?」
「父ちゃんたちに、嫁さん紹介するからな!」
「え……うん」
  驚いたクラウドに満面の笑みで言うと、こんなにわかりやすく言ったのにクラウドが少し俯いた。おーい、と拗ねた声を出すと、勘違いしたと思しきクラウドが視線だけをザックスに寄越す。
「俺の嫁さんはお前だろ?」
「え。…え、違っ!」
  やっぱり勘違いしてた。ザックスは椅子から下りてクラウドを捕まえると、耳まで赤くしたクラウドの髪をぐしゃぐしゃと掻き混ぜる。
「もー、何度言ったらわかってくれんのかなぁ。俺にはクラウドだけだって、いっつも言ってるじゃん」
「そ、それは、そうだけど…っ。お、俺はお嫁さんじゃないっ!」
「何言ってんだよ、嫁入りしてくれたくせにっ♪」
「嫁入りじゃないってば!」
  抵抗されても放してやらない。ザックスはクラウドに優しくキスをして、いつものように「大好き」と告げる。

  P.S ガールフレンドができました。

  無難なものに置き換えて、その言葉に込めた意味。
  いつかちゃんと連れてくからな。たったひとりの、大事な人。


                                          fin.

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文字書きで絵描き。
戦BAの半兵衛と、FF7のザックラにぞっこんフィーバー中。

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