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すいーと・すいーと

黎が管理・運営しているきまぐれブログです。 初めてお越しの方は、カテゴリー「about」内の「はじめに」という記事をご覧ください。 女性向け要素、同人要素を含みますので、苦手な方はご注意ください。

2024.05.19
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2009.05.18

寝坊せずに出勤しているんだろうか、私(駄)

さて、本日アップしますのは、随分前に言っていた
甘めな松竹でございます。
いや、甘いといっても…そこは我が家の松竹なので、
半兵衛的には「勘弁してくれ」ですけれども(苦笑)

これは、雨宮が書いてくれた現パロ松竹があまりに甘くて可愛くて、
それに触発されて書いたものです。
風邪で休んでる半兵衛のところに松永さんが来て、
甲斐甲斐しくお世話をしていて、
彼女のところの半兵衛は松永に結構デレデレなので、
松永さんに甘えてみたり、ちょっと拗ねてみたり……と、
とにかく松永も半兵衛も可愛すぎて、
私はいろいろとブレイクしてしまったという(爆)

そんな可愛くて素敵なお話に触発されたはずなのに、
やっぱりうちの松竹は、どこまでもうちの松竹(笑)
ごめんね半兵衛、でもなんか、今まで書いてきたどの話より
ツンデレしている気がするよ(爆笑)
まぁでも…普段されていることのお陰で、
半兵衛はろくでもない妄想に取り付かれてしまってるので、
可哀想は可哀想です…
書いた本人はギャグのつもりだったんですけども;
えーと…あと、
ちょぉっとアダルトな展開になってる…か、な……(汗)


お、ともあれ、風邪をひいた半兵衛と、看病に来た松永の
とぼけててしょーもない小話です。
現パロ設定になっておりまして、ふたりとも会社員、
松永は半兵衛の上司設定でございます。
そういや大学の先生で、奥さまが風邪をひかれて
看病のために休講になさった先生がいらしたなぁ…
可愛いですよね、微笑ましいというかvv

それでは、お読みくださる方は、
どうぞ続きにお進みくださいませ! 








 


「38.5℃」


  最悪だ。最悪だ、最悪だ、最悪だ。
  思い切り突っ伏したまま、半兵衛はひたすら呟き続けた。心の中では、こんな失態を犯した自分への恨み言と、恋人という名目で付き纏うあの男への恨み言がぐるぐると回っている。これでは、とても熱など下がるまい。むしろ辿るは、悪化の一路だ。
  このところ、半兵衛はもともと体調が思わしくなかった。しかし、昨日までに終わらせなければならない仕事が大詰めだったために散々無理をしてしまい、結局それが終わるなり高熱を出してしまったのだ。気が緩んだとしか言えない。これではとても出社できず、半兵衛は朦朧としながらも欠勤の電話をかけた。そこまではいい、そこまではまだ良かったのだ、後のことを考えれば。
  最大の失態は、電話に出た女の子と話しているつもりでいて、いつの間にかあの男が彼女から受話器を奪っていたことに、全く気付かなかったということである。
『それは大変だ。すぐに迎えに行こう、待っていたまえ』
  至極穏やかなその声を聞くなり、目の前が真っ白になっていった……
  その後、電話は一方的に切られ、逃げ出したくても後のことを考えるとそれもできず、愛車を飛ばしてきたらしい自称恋人が半兵衛のマンションに着くまで、半兵衛は何もできなかった。熱のせいでまともな抵抗も叶わぬまま、車に乗せられ病院に連れていかれ、その後、こうして彼の豪邸に拉致されるに至っている。
 彼はといえば、今は自ら台所に立っているようだった。しかしそれも怖い。薬を飲む前に何か食べろ、と言ったあの男は、粥にでも媚薬を混ぜかねない。今そんなことをされたら、冗談抜きに死ぬ。
  そうしてうなされ思考停止した半兵衛は、壊れたラジオ宜しく、最悪だ…の永遠ループに陥っているのだった。
  大体、「恋人」が熱で休んだからと出社直後に早退するような男が、なぜ常務取締役などに収まっているのか。絶対にうちの会社はどうかしている。本当ならば、あの男がいる会社など、すぐにでも辞めてしまいたい。だが同時に、あの男がいる限りは会社を辞めることはできないのが現実だ。どんなに穏やかに事を進めても、最終的に奴曰くの「裏切る」ことになるのだから、とても恐ろしくて実行できない。その後の展開は目に見える。喩えではない拉致監禁、二度と日の目を見られない凌辱の日々が始まるのだ。
(なぜ僕は、あんな奴に捕まってしまったのだろう…)
「すまない、随分と待たせてしまったな」
  聞こえてきた声に、半兵衛は全身を硬直させた。直後、思考は見事に切り替わる。さぁ、この場をどう乗り切るか。
  サイドテーブルに盆を置き、松永久秀は優しい声色で言った。
「起きているかね? 粥を作ってきたのだが、食べられそうか」
「……」
  頭からすっぽり布団にくるまった半兵衛は、このまま寝ているふりをしようかとも考えた。しかし、気付かれるのも時間の問題。それに、勝手に飲むなと奪われた薬も欲しい。どうする、どうする、どうする。熱で働かない脳は、新たなループを回し始めた。
「ふむ、寝ているのか」
  松永の手が、遠慮なく布団をめくる。しかし、目を閉じてループを続ける半兵衛を見て、どうやら寝ていると判断したらしい。無言のままに、ややゴツゴツとした手が半兵衛の額に触れる。
「ふむ…。少々時間をかけすぎてしまったか」
  何を思案しているのか、半兵衛にはそれを考える余裕すらない。冷や汗をかきながら、半兵衛は無言で決意する。こうなったら、寝ているふりを続行だ。
  ふと、松永が部屋から出ていく気配がした。このまま半兵衛を放っておく男ではない。何を取りに行ったのか。寝ているのをいいことに、腕を縛られては堪らない。起きたほうが無難なのか。
  ひとりで悶々と悩む時間は短く、間もなく松永が戻ってくる。近付いてくる気配。緊張で強張った体はすぐには動かず、起きようにも叶わない。松永の冷たい手が、半兵衛の首筋に触れた。
  これは、やはり起きるべきだった。反応できずに機会を失い、半兵衛は後悔して更なる冷や汗を流す。その間にも、冷たい手がボタンを外し、半兵衛の素肌を晒していった。せめてもの抵抗で顔をそらし、刹那、体にひやりとした物が触れた。
「…っ!?」
「おや、起こしてしまったかね」
  思わず体を震わせると、松永の声が響く。今起きなければ機会はない。熱で重い瞼を開くと、薄暗い部屋の中、松永が穏やかに笑っていた。
「…何を」
「いや、悪かった。起こすつもりはなかったのだが」
  掠れた声で問うてから、半兵衛は松永の手中にある物に気付く。それは、濡らしたタオルのように見えた。
「卿の汗があまりに酷かったのでな。これ以上悪化しては、卿の体が保たないだろう」
  単純に、寝汗の処理をするつもりだった、というのか。裏がないかと思わず探るも、まぁ…体には触り放題だな、というところで思考が止まる。それでも気持ちの良いことではなく、半兵衛は無理に体を起こし、松永からタオルを受け取ろうとした。
「どうかしたかね」
「…自分で、やらせてくれ」
「なに、遠慮することはない。すぐに済ませよう、無理に起きていて、悪化でもしたら大事だ」
  貴方に触られている方が余程体に良くない、と、そう言えるだけの勇気があれば。この数年ですっかり抵抗する気力を奪われた半兵衛は、内心げんなりとして溜め息を漏らす。その間にも松永は、半兵衛の汗――それは寝汗ではなく、ただの冷や汗なのだが――を拭いていた。水で湿らせたタオルの感触は、熱い体には心地よい。
「卿はすぐに無理をしたがる。私がいない時、きちんと食事を摂っているのかね? あまり心配させて欲しくはないな。私の寿命が縮んでしまう」
(…いっそ、そのまま死んでしまえ)
  むしろ半兵衛は、日頃から松永のせいで寿命が縮む思いをしているのだ。それにこの男が、多少呪いの言葉をかけた程度で、くたばるとは思えない。悪態をつきたいのを堪えながら、半兵衛は不本意にも松永の腕に縋る。しっかり掴まっていないと、このまま倒れてしまいそうだった。
  結局、半兵衛にろくな抵抗を許さぬまま、松永は半兵衛の細い体をすっかり拭き終えた。予想外だったのは、下着を脱がされずに済んだことだ。病人を襲うほどの鬼畜になる気はなかったらしい。何着用意されているかも分からない替えのパジャマを着たところで、松永はしつこく話しかけてくる。
「起き抜けでは辛いだろうが、粥は食べられそうかね」
  薬を飲まなくては、と言う松永を見ながら、半兵衛は僅かに思案する。これで本当に媚薬が混ぜられていたら、半兵衛は多分死ぬ。しかし一方、薬を飲みたいというのも切実なところ。さぁ、どうする。
  半兵衛が答えずにいると、松永が僅かに首を傾げながら、いつもの笑みを絶やさぬままに問うてきた。
「私が粥に媚薬でも混ぜたと思っているのかね? それならば安心したまえ。熱に喘ぐ卿は確かに魅力的だが、これ以上の負担をかけては卿の体は保たないだろう」
「…では、ひとりにしてもらえないか」
  やはり混ぜようか考えたのか、と思うと、我知らず本音が漏れる。しかし松永はベッドに腰掛けたまま、半兵衛を引き寄せ、そのままぎゅっと抱き締めた。途端に反応した自身の体を疎ましく感じる半兵衛に、松永がいつもの淡々とした、穏やかな声で告げる。
「どうも卿には信頼してもらえないな。どうすれば分かってくれるのかね」
「何を…」
「これ程までに誰かを大切に思うのは卿が初めてだと、再三繰り返しているつもりなのだが」
「っ……」
  優しい仕種で髪を撫でられ、半兵衛の体が強張った。そして熱くなる頬。これは恐怖ではなく、一種の思慕だ。
  ああ、と半兵衛は嘆く。これをされるから堪らない。俯いた頬が赤くなるのが、結局のところ自分の本音。どれだけ散々な目に遭わされても、結局は松永を憎めてはいないのだ。
 実のところ半兵衛は、松永が如何に自分を大事に扱っているのか、本当はよくよく分かっている。随分前は気ままに休みを取っていた松永が、今は殆ど休みを取らない。体が弱い半兵衛がいつ倒れても休みを取れるよう、有休を残しているらしい。そこで有休を使う辺りは、やはりこの男らしいところなのだが。それに、情事となるとケダモノになるこの男も、それ以外ならとことん優しい。素直に受け入れられないのは、彼のケダモノっぷりが壮絶だからであって。
  結局自分は、本気でこのケダモノから逃れようとはしていないのだろう。それが恋慕などではないにせよ。
  はぁ、と小さく溜め息をついたのを聞きつけたらしく、優しく半兵衛のくせっ毛を撫でながら、松永が穏やかな声で語りかける。
「おや、辛そうだな。すまない、気付かなかったな。もう少し横になるかね」
「…そうさせてくれ」
  掠れた声で応じるものの、本当は熱くなってしまった体を持て余していた。恐ろしい男だ、媚薬もなしに。というか、自分は一体どれだけこの男を体に教えこまされてしまったのか。理性を総動員して内なる熱を押さえこむと、半兵衛はベッドに潜り込んだ。ふと目の前が暗くなり、いぶかしんで顔を上げる。するとすぐさま口付けられ、熱くなった体がますます反応してしまった。
「…っ、勘弁してくれ」
「何をだね? …ああ、そんなに私が欲しかったか」
「違っ…! よせッ!」
  必死な半兵衛に構いもせず、今度は額に口付けが降ってくる。だが松永は遠慮なく、ギシッと重い音をたててベッドに乗り、一気に掛け布団をまくり上げた。そして、嬉しそうな声でこう紡ぐ。
「怖がらなくていい、楽にしてやろう」
「っ…!」
  やっぱりこういう展開になるのか。どうしてもこういう展開になってしまうのか。
  抵抗しきれない自分を呪いながら、それでも半兵衛は、松永の体に腕を回していた。
  翌日、ふたりが揃って欠勤したことなど、言うまでもないだろう。


                                            幕

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戦BAの半兵衛と、FF7のザックラにぞっこんフィーバー中。

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