すいーと・すいーと
黎が管理・運営しているきまぐれブログです。 初めてお越しの方は、カテゴリー「about」内の「はじめに」という記事をご覧ください。 女性向け要素、同人要素を含みますので、苦手な方はご注意ください。
DFFの更新でもしようかと…
ちょっとFFがご無沙汰になりましたので。
だったらメインCPアップしようぜ、という感じですが(苦笑)
本日アップするのは、589トリオの小話です。
以前アップしたお天気トリオの話と同じ設定の話ですね。
(そちらのお話は、右の「FF小説 etc.」から飛べます)
一応、学パロです。その設定はまったく生かせてませんが;
もともとは、薫から「589トリオでお花見」リクをもらっていて、
それを書かなければいけなかったのですが……
以前言っていた書きかけ話がどうにも進まず、
結局、それはボツになってしまい…花見の季節が過ぎ……
この話を書くに至りましたorz
当時言っていたクラティー要素は、欠片もなくなりました…
薫が喜んでくれたのが唯一の救いでございますorz
そんな小話ですが、お読みくださる方は続きへどうぞ!
CPなしのほのぼのです。
「雨男の奇跡」
今日も今日とて、外は雨。せっかく2泊で北まで来たのに、ついに花見は叶わなかった。
「いや~、噂には聞いてたけど、ホントすごいな! スコールの雨男っぷり!」
「そう責めるなよ、バッツ。まだ来年だってあるだろ?」
「……」
バッツとジタンのやり取りを、スコールは黙って聞いている。というか、言う言葉など浮かばない。スコールがとんでもない雨男だと、ふたりとも充分知っていたはずだ。
花見の約束を半ば強引に取り付けられる度、必ずこうして雨が降った。次第に桜が殆ど散ると、旅好きなバッツの提案で、見頃な土地で花見をしようと週末に2泊を強行した。そして彼らが今いるのは、桜が咲く最北の地。
この雨で桜は散っている。ジタンが言った通り、彼らはついに、今年一度も花見ができなかったのである。
「そう落ち込むなよ、スコール! スコールは何も悪くないって」
落ち込んでいる気はさらさらないが、どうでもいいのでスルーした。もうすっかり夕暮れ時、雨は大分弱くなっているものの、夜桜を楽しむには朝の雨が強過ぎた。今は3人、話しながらババ抜きに興じている。はぁ、と溜め息をつきながら、スコールは揃ったカードを投げ捨てた。7が2枚。運を自ら捨てた気分である。
「ま、でも楽しかったよな! 旅の間にこんなに雨降ったの初めてだぜ! いやぁ、これはこれで、えーと、うん、オズだよな!」
上機嫌なバッツは、確かになんだかんだ楽しそうだった。もちろん、それは「オズじゃなくて乙だろ」と突っ込むジタンにも言えることだ。スコールとて、まぁそれなりに楽しかった。振り回されて疲れたとはいえ、普段なら絶対に出来ない経験だったのだ。
花見は出来ず、雨男は無言の圧力を感じながらも、結局は楽しい旅だった。
「あ」
ふと、ジタンが驚いたように視線を上げた。つられてバッツとスコールも視線を追う。そしてバッツが、大きな歓声を響かせた。
「うっわー、すげぇ~っ!」
小雨に濡れた遠い空。思わず窓に寄って、じっと見る。
そこには、くっきりと7色の掛け橋が掛かっていた。
「こりゃすごい! こんな見事なの、そうは見れないんじゃないか?」
「オレ、こんなの初めて見た! うっわぁ~っ」
喜々として賑わうふたりの傍ら、スコールも薄く笑みを浮かべる。確かに見事だ。きれいだな、と、内心小さく呟いた。
と、急にバッツが無邪気に振り向く。満面の笑みを向けられて、スコールは僅かに首を傾げた。
「まさかスコールがこんな魔法仕掛けてたなんてなぁ!」
「は?」
「こんなきれいな虹が見れたのも、雨が降ったからじゃん!」
スコールの目が点になる。
当の本人をほったらかして、バッツとジタンは上機嫌だ。こりゃあスコールを責められないよな、とか、勝手極まりないことを言いながら。
その様子に、スコールはフッと笑う。それは珍しいくらいに、嬉しそうな微笑みだった。彼はぽつりと、心の中で小さく呟く。
たまには、振り回されるのも悪くない。
fin.
戦BAの半兵衛と、FF7のザックラにぞっこんフィーバー中。
09/02/19 ブログ始動