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すいーと・すいーと

黎が管理・運営しているきまぐれブログです。 初めてお越しの方は、カテゴリー「about」内の「はじめに」という記事をご覧ください。 女性向け要素、同人要素を含みますので、苦手な方はご注意ください。

2024.11.22
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2009.05.11

連休明けって、実質今日ですよね…。
散々休みまくった後の、最初の5連勤。キツ…;
まぁ…今日明日は会社外のセミナーを受けてくるので、
それはそれでちょっと違った感じにはなりますが。


本日は、昨日ちょっと言いましたとおり、
ありがたくもリクエストいただけたものをアップいたします!

と、言いますのは、
捏造キャラ強化週間をやると決めた前日あたりに、
「ストックがシリアス系しか残ってない…」
と呟いた際に、「もし死にネタシリアスとか読みたいと
言ってくださる方がいらっしゃれば」
と、
例によって呟いたことがありました。
そうしましたら、わざわざ「読みたい」
声をかけてくださった方がいらっしゃいまして!! 

本当にありがとうございました! 
そして、大変お待たせいたしました…!!(土下座)


そんなわけで、本日アップしますのは、
松竹死にネタ、シリアスな話です。
…シリアス…というか、うーん……
ちょ、ちょっとシリアスとは違うのかな…(滝汗)
すみませ……自分で読み直したら、ちょっと自信が…;;;;;
リクくださった方、ご期待に沿えませんでしたら
申し訳ありません…!!orz

で、ですが、死にネタ死にネタです。
苦手な方はご注意くださいませ!! 

タイトルで、なんのイメージで書いたかは
一発バレだと思います(笑)
確か、カラオケであれを歌ったときにふと松竹イメージが沸いて、
うちの松永さんの方向をちょっと直したくて書いたものでした。
…結局、これを書いても、不思議な人なのは直りませんでしたが;
そして、あの曲の何をどうしたらこうなるのか、謎←


今でこそ、甘あまを中心にいろいろ書いている私ですが、
実はもともと、シリアスな話ばかりを書いている人間でした。
なので今でも、ぶっちゃけ自分で読んだときに
「のってるなー」と感じるのは、
圧倒的にシリアスな話。とか、病んでる話ですね(苦笑)
たとえば、初めて書いた慶半が、
いきなり死にネタだったりして(本当)
慶半死にネタは、半兵衛死にネタ、慶次死にネタ、
うっかり秀吉死にネタと、いろいろ書いた…なぁ……;
今のところ、戦BAで死にネタやってないのは、つまり半幸のみ。
半幸は幸せほのぼのがいいので、
あんまりシリアス書きたくないんです。
1本だけ、半兵衛死にネタを含む話を考えてますが、
それもあまり、シリアスとか、重くならないように考えています。


…えー、まだどうでもいい話を長々とすみません…;
それでは、松竹死にネタ、お読みくださる方は、
どうぞ続きへとお進みくださいませ! 







 


「月光歌」


 ざわざわと、風に揺さぶられた樹々が啼く。それは、まるで追悼の歌のようだった。哀、悲しみ、遠い、遠い君へ、届け、届け、届け。
 彼がそこにいることはわかっていた。
 ざわざわざわ。ざく、ざく、ざく。落とされた木の葉が踏まれる音。大地を覆う枯れた木の葉は、いずれ大地へと還る。男は静かに振り向いた。視界に入る赤、目に痛い紅葉。
「いやはや、また随分と美しくなったものだ」
 抑揚に欠けた声で、男は淡々と言った。男に相対するのは青年、まだ若いその姿は、記憶と変わらぬみずみずしい若木。蝕まれて開かれた傷口、そこから流れる赤い樹液が、男にはとてもいとおしかった。
「それはどうも」
 青年の返答は短い。静かな声に対し、唇が笑んでいる。赤い唇。否、それが彼を蝕んでいるものとは別の理由によるものなのだと、男にはわかっていた。
「深手を負いながらもここまで来るとは、いやはや、私は思っていたよりも卿に愛されていたということか。艶やかに染まったその姿を見せに来てくれたのかね」
「……そう思いたいならば好きにするがいい」
 青年の脇腹から溢れる命。白を基調とした青年の衣服は、すっかり紅葉に塗れている。その姿はとても美しかった。もとから色の白い肌が、今はまるで雪のようだ。一面の雪原を染め上げる紅葉の、なんと美しいことだろう。
 男は静かに笑んでいた。
「では、なんのためにここまで来たのかね。美しく染められた卿を見殺しにする友に、愛想をつかしたというわけでもあるまい」
「あなたの想像しているとおり」
「ほう、私の考えを読めるようになったのかね」
「伊達にあなたに抱かれていたわけではないよ」
「それは頼もしい。しかしそれでは、哀れな卿はもつまい」
 青年もまた、笑んでいた。
 それは恐ろしいほど静かで、柔らかく、美しい笑みだった。
「どうしてもあなたに会いたくて――」
 男の言葉には応じずに、青年は言いながら歩み寄ってくる。一歩一歩、そのたびに、枯れた木の葉が命の祝福を浴びた。
「彼には言わずに、抜けてきたんだ」
「最期は私のもとで迎えよう、ということかね」
「ええ」
「それは光栄だ」
 霧が立ち込め始めている。湿った空気、それに混じる血のにおい。
 このような湿った空気に触れては、火薬もたいして役には立つまい。
「どうしても――」
 青年の足元がぐらつき、その頭が男の肩に当たる。片腕でしっかりと抱きとめた。痩せ細った躯は軽い。血の混ざる咳。男の羽織の白に、紅葉が舞った。
「それ以上口を開けば、助かるまい」
「……ぅ…」
「助けて欲しいかね、それともひと思いに死なせて欲しいか」
 背年は答えず、代わりに緩く首を振る。荒い呼吸。まるで喘いでいるかのようだ。正しく彼は喘いでいるのだろう、彼が欲する澄んだ空気は、ここには存在していない。
 男に体重を預けながら、青年は静かに言葉を紡ぐ。
「…どうしても、あなたに…会いたくて」
「遺言かね。そんなものは聞きたくないな」
「安心してくれ…、あなたを置いて、逝きはしない」
「そうなるのかね」
「あなたひとり置いて、逝けるわけがない」
「ほう、嬉しいことを言う」
 男は唇の笑みを深めた。青年の生温かい命が、男をも濡らしている。
「――だから」
 しゃり、と静かな音が鳴る。
「僕と一緒に死んでくれ」
 どす……
 ――静かに、鈍い音が鳴る。
 男の羽織の白に、次第に赤が滲んでゆく。熱い。熱い、熱い。
 男は、唇の笑みを深めた。
「――そうなると、思っていたのかね」
 静かに優しく笑みを浮かべながら、男は青年に言った。
 青年の短刀に貫かれた腕から、無造作に白銀の刃を引き抜く。
 優しい笑みを浮かべて短刀を放り捨てた男を、青年が睨んだ。
「卿は本当にいとおしいな」
 共に逝くつもりだったのだろう。この男を残したまま、友を置いては逝けぬと。
「だが残念だ。私も命は惜しいのだよ」
「――っ……」
 青年が、腰に帯びた自身の得物に手を伸ばす。しかし、それも男の手によって阻まれる。もとより青年には、彼を掴む男の手から逃れるだけの力はなかった。
「…僕が、あなたに初めて望んだものだ……っ」
 先程までの穏やかな笑みは消え、代わりに瞳の奥に鋭い光が覗く。男を射ぬかんとするその光は、だがもう長くはもたないものだ。
「そうだったな。しかしすまないが、卿にくれてやるつもりはない」
「あなたは…僕が望まないものばかりを与えて、僕には、何も…っ」
「欲しければ奪えばよかったのだ。卿には、私の命を奪うだけの力がなかったということだよ」
「……っ!」
 鋭い光を宿した瞳が、次第に昏くなっていく。
 最期に燃え上がった焔が破裂するには、この空気は澱みすぎていた。
 男は優しく青年を抱きしめる。青年が腕の中で震えたが、もはや抵抗するだけの力は残っていない。
「卿を最期に美しく染めてくれたのは誰なのかね」
「…答える義理はない」
「なに、卿が気に病むことはない。ただ、ささやかな礼がしたいまでだ。卿は彼のために、こんなにも美しくなった」
「彼には、触れるな……っ!」
「つれないな。それが私への遺言かね」
 次第に呼吸が薄れていく名ばかりの恋人を、男は優しく、優しく撫でた。それから僅かに体を離す。虚ろな目をした恋人の傷口、そこに触れ、彼の命を音を立ててすする。びく、と青年が震えるのを、力ずくで押さえ込んだ。
「欲しいものはこうして奪うのだよ」
「う、…くっ……」
「私の命はやれんが、代わりに冥土の土産をくれてやろう」
 言いながら男は顔を上げる。青年の血で赤く染まった唇で、柔く青年の唇を撫でた。
「卿の友には手を出さないでおこう。不満かね」
「…信じられない」
「いやはや、冷たいな」
 青年の声は、もう殆ど艶を失っている。唇を重ねたままに言葉を紡ぐ男の目を、青年の昏い瞳が見ていた。
「では、これはどうかね」
 言いながら目を閉じた。そして一度、深く口付ける。
「これでも私は、卿を愛しているのだよ」
 答えを聞くより早く、男は再び唇を塞いだ。
 青年は応じない。
 唇を離し、そのかんばせを見つめたときには、青年の瞼は落ちていた。
 男の笑みが深くなる。
 これでも私は、卿を愛していたのだよ。
 ざわざわざわ。
 樹々が、追悼の歌を紡いだ。


                                             幕

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文字書きで絵描き。
戦BAの半兵衛と、FF7のザックラにぞっこんフィーバー中。

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