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すいーと・すいーと

黎が管理・運営しているきまぐれブログです。 初めてお越しの方は、カテゴリー「about」内の「はじめに」という記事をご覧ください。 女性向け要素、同人要素を含みますので、苦手な方はご注意ください。

2024.05.19
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2009.05.22

久々の慶半が、よりによって病んでる話とか(爆)
おまけに流血表現ありまくりで、
ちょっとグロ目なんじゃないか、とか(ぇぇぇぇぇぇぇ
いきなりそんな更新ですみません……


これは……確か、学生の頃に早朝バイトに行く際、
あまりに空気が澱んでいてむしむししていて、
その空気に触発されて書いちゃったんだった…ような……
す、すみません、なんかアップしたい気になってしまって、
そういうときに思い切ってアップしないと、
きっとこのまま、アップする機会を逃す気がして……(大汗)


しかも病んでる話って、慶半限定で2本あるっていう;
なんで慶半ばっかり?(汗)
たまに病んでる話書きたくなることは確かにあるけど、
なぜ慶半ばっかりなのだ!!(謎)

正直、気持ちのいい話ではないような気がします。
慶半といっていいのかも、ちょっと謎な関係。

稲葉山城に来た慶次が、半兵衛に負けて捕まってしまって、
半兵衛直々にいたぶられまくっている話です。
病んでるのは半兵衛も慶次も両方です。

確か当初は、半兵衛が一方的に慶次を
いたぶるだけの話にするつもりだったような気がします。
が、途中から慶次君が勝手に動き出しまして…
要するに、それだけでは終わってません。


いきなりそんなものを投下してしまいましたが、
実はこういう文章のほうが、私らしい気がするんですよ…本人は。
どこかに詩的な文章が紛れ込むというか。
わざと意味をとりづらい書き方をしてみるとか。
やりすぎて暫く経ってから自分で読んだときに、
「これ、なんのことだっけ」とか言ってますから、たまに(苦笑)


結構、とんでもないこと書いてるような気はします。
とはいっても、そういうのがお好きな方から見て
どうなのかは分かりませんが…
甘さ要素はまったくありません。
流血沙汰の、どろどろしたやり取りになっています。
それでも良い、と言ってくださる方は、どうぞ続きにお進みくださいませ。


……こんなに暗い調子で記事を書くのも、久しぶり、だなぁ……;;





 


「Baroque」


 息苦しい。
  じっとりと重い空気が体に絡みつく。あらゆる自由を、奪い取る。
  濃厚な、血のにおい。重い空気を、澱ませ、正気を、奪う。檻。望んだ檻。自らに、課した、甘美な、茨の。
  ああ…このまま、全て狂ってしまえばいい……

 

「君が望んだんだよ」
  ぞっとする程に冷たい声が、遥か頭上から響いてきた。ゆるりと頭をもたげると、普段とは異なる赤と黒の着物に身を包んだ影が、彼を傲慢に見下していた。
「可哀想にね。こんなに赤く染まってしまって」
  言葉とは裏腹に、声にはなんの感情もない。どこか艶っぽい声は抑揚に欠け、彼を見下す瞳には、寧ろ一層の赤を求めているかのごとき暗い光が宿っている。
「はん…べぇ…」
「うるさいよ」
  ようやく慶次が口を開いた刹那、半兵衛は容赦なく慶次の手を踏みつけた。痛みに呻く慶次に欠片ほどの同情も見せず、半兵衛は踵で彼の手を床に押しつける。辛うじて目を開けると、半兵衛の踵が、赤黒く染まっていくのが見えた。
「何度も忠告しただろう? 秀吉の邪魔をするならば、たとえ君であろうと容赦しないと」
「う……」
「いずれこうなることはわかっていただろうに。それとも、君は初めからこうして欲しかったのかな?」
  慶次が答えずにいると、やがて飽きたかのように半兵衛は足を上げた。なす術もなく横たわる慶次の全身は、既にずたずたに斬り裂かれている。血のにおいが鼻先をかすめ、思うような呼吸すらままならない。それでも顔を上げようと試みる慶次の眼前に、カッと乾いた音を立てて、血塗られた刃が突き立てられた。
「さぁ、次はどうして欲しい? 言ってごらん」
  その言葉と共に、細く長い指が伸びてきて、慶次の顎に触れた。見つめた半兵衛の紫の瞳は恐ろしい程に透き通り、奥底に嗜虐的な光が覗いている。だが口元には、僅かな笑みも浮かばない。
「ほら、言ってごらん。君の望みを叶えてあげると言っているんだよ」
「…俺…は……」
「声が小さい」
  低い声が響くと同時、慶次の前髪が乱暴に掴まれ、無理矢理顔を上げさせられる。もう訳がわからない。何を言えばいいのか、何を言いたいのか、そもそも自分が何を望んでいるのか。
「知っているよ。君が僕を欲していることはね」
  抑揚に欠けた声で、ささやくように半兵衛が言う。
「君はねねを殺した秀吉が許せなかった。だから秀吉から離れた。だが、結局君は、僕のことを諦めきれなかった。違うかい?」
  ああ、そうだ。慶次だって知っていた。どんなに望んだとて、半兵衛を手に入れることなど叶わぬと。半兵衛が全て知っていることも、とうにわかっていたことだ。
「哀れだね。僕が君のものになることなどありえないのに。僕だって、わざわざ君の方からから出向いてこなければ、こんなことはしなかったんだよ」
  言いながら、半兵衛がそっと慶次の手を取った。そして掌の傷口に指を押し込む。ゆっくり、少しずつ、傷口を広げるように、いやな音をたてさせながら。慶次が堪えきれずに喘ぐような声をあげると、くすくすと笑う小さな声が聞こえた。
「駄目だよ、そんな声をあげては…。もっといたぶってあげたくなるだろう? 僕は君を殺めなくてはならないというのに……」
「や、やめ…っ」
「ほら、駄目だってば……。どうしてそう、僕を喜ばせるのかな」
  みちみちといういやな音。なくなりそうな意識が覚醒する。覚醒した意識が、慶次を狂わせようとする。血が滴る感触。滴る血が、ゆっくりと舐めとられる感触。
「た…頼む…っ、もうっ…」
「もう? どうして欲しい? ひと思いに殺して欲しいのかな?」
  ああ、いっそ、その方がどれほど楽だろう。このまま狂って生かされるのなら、彼の手にかかって死んだ方がずっといい。だが、それを口にすれば。
「それはいけないね、僕の義務と君の望みが一致してしまうなんて。つまらないじゃないか……君には抗ってもらわないと」
  慶次が口を開くより早く半兵衛が言う。彼はいつもそうだ。わかっていて、必ず望むようにはしてくれない。慶次が彼を望めば、彼は必ず遠ざかった。彼を拒めば、必ず彼から寄ってきた。
  ようやく半兵衛の指が慶次の傷口から離れ、慶次は荒い呼吸を繰り返す。涙で視界が歪んでいた。その視界に、赤黒く染まった指が入ってきて、その指が慶次の頬に触れる。
「ねぇ、慶次君。君は、どうしてこんな目に遭っているのか、わかっているのかな」
「…俺が……望んでないことだからだろ……」
「おや、そうだったのかい」
  慶次が小さな声で答えると、半兵衛の面白そうな声が聞こえた。
「では、尚更可愛がってあげなければね。困ったなぁ…君には死んでもらわなければならないのに」
「俺が、秀吉にとって邪魔な存在だからか……」
「そうだよ、お利口さんだね。よくわかってるじゃないか」
  先程までとは打って変わった優しい仕種で、半兵衛の指が慶次の頬を撫でる。そのたびに、慶次の血で、その頬が汚れた。
「ねぇ、お利口さんの慶次君。もうわかっているよね? これが、君の望んだことだって」
 慶次の頬を優しく撫でながら、半兵衛が穏やかな声で語りかける。
「俺の…?」
「今、自分で言ったじゃないか。君は秀吉にとって、邪魔な存在なんだよ。それが何故なのか、わからないのかい?」
  頭はとっくに回っていない。半兵衛が何を言いたいのか、全く見当がつかなかった。ほうけたようにただ半兵衛を見つめていると、やがて小さなため息が慶次の頬にかかる。
「やれやれ、やっぱり君は馬鹿だね。僕は、君のそんなところが嫌いだよ」
「…今さら」
「そう、今更だ。もう手遅れなんだよ……。これ以上、君に秀吉の邪魔をさせる訳にはいかない」
「さっきからなんの話…」
「いい加減にしてくれないか」
  突然、半兵衛の声が低くなった。訳がわからずにいる慶次の前、半兵衛は傍らに突き立てた関節剣を引き抜き、その先端を慶次に向ける。彼の顔から、再び笑みが消えていた。
「僕は君のものにはならないんだよ。僕は秀吉のものだ。僕は彼と共にあると決めたんだから」
「……?」
「僕は秀吉のものでなくてはならない。秀吉にとっても、僕は必要な存在だ。なのに……君は、秀吉から僕を奪おうとする……」
  唖然とした。
  思いがけない言葉が、半兵衛の唇からこぼれてくる。
「君は僕の心に入り込んで、僕を狂わせようとしているんだ。そんなの許さないよ……僕が君への想いに狂うだなんてね……」
「半兵衛……?」
「これは僕の復讐だよ。僕を狂わせた君へのね……」
  半兵衛の唇が、思いがけない言葉をこぼしている。
  半兵衛が、俺を想って、狂っている?
「だから、君には死んでもらわなければならない。僕が今以上に狂ってしまう前に」
「お前…」
「でも、君が僕に死を乞うのなら、殺す訳にはいかないね。復讐にならないじゃないか。どうしてあげようかな…奴隷になって僕に尽くすかい?」
  狂っている? 半兵衛が、俺を想って、狂っている……?
「……なんのつもりだい」
  気付くと、半兵衛の冷たい声が響いていた。全身の痛みすら忘れ、慶次は体を起こしていた。先ほど半兵衛の指を赤黒く染めた手で、より一層、彼の手を染め上げる。
「…お前、さっき言ってたよな。俺の望みを叶えてくれるって」
「…ふ……。何を望むんだい」
  無抵抗の半兵衛の手を固く握り締め、慶次はゆっくりと唇を動かした。
  俺は、俺は。
「俺は、お前が欲しい」
  ずっと前から、欲していた。
「お前が手に入るなら、なんでもいい」
  どんな形であれ、彼を己の手の中に閉じ込められるなら。
「俺のものになれ」
  澱んだ空気。正気を奪う、血のにおい。
「俺に狂えよ、半兵衛」
  このまま、狂わせてやる。それで彼を、己のものにできるなら。
「……君のものになれだって……?」
  問いかける半兵衛の目が、みるみる見開かれていく。唇の端が歪み、次第に笑みが漏れ始めた。
「君のものになれだって?」
  はっきりとした強い声。刹那、慶次の体が再び斬り裂かれ、あえなく崩れ落ちてしまう。無理やりにほどかれた手をそれでも伸ばし、慶次は半兵衛に触れようとした。
「ふざけるな、僕は君のものになどならないと言っているだろう? 君が僕のものになるんだ」
「へっ…、お前、そんなに怖いのか……」
「なに…」
  半兵衛の表情が歪む。慶次は不敵に笑うと、伸ばした手で半兵衛の足首を捕らえた。
「俺に狂うのが、そんなに怖いのかよ」
  ああ、もう訳がわからない。ただ、ありえないような感情が、慶次を支配している。幸福。愛する者が己のために狂う姿を見つめているという、歪んだ幸福。
  半兵衛が何ごとか叫び、再び関節剣で慶次を斬り裂く。だが、今度は慶次も手を放さない。苛立ちも露わな昂った声が、慶次に向かって注がれる。
「自惚れるな、僕が君に狂うなどありえない。さぁ慶次君、その汚らわしい手を放すんだ」
「……嫌だね」
「飼い主の命令に背く奴隷には罰がいるよ。そうだ、このまま僕の玩具にしてあげよう。君の望みにも適うだろう? 君が愛する僕のそばに、ずっといられるのだから」
  狂気を帯びた半兵衛の瞳。ああ、いとおしい、いとおしい者よ。恋ゆえに狂い自我を崩壊させた、哀れで可愛い想い人よ。
「お前、わかってねえな……。お前を支配してるのは、俺の方だよ」
  歓喜。狂喜。澱んだ空気、血のにおい。重い、想い、哀れみ、悦び。檻。茨。血染めの、赤黒い、互いに生かし、殺しあう。お前は既に俺のものだった。ああ、お前は俺に狂った。
「お前は俺の奴隷だよ。俺に狂った、恋奴隷だ」
「狂っているのは君の方だ」
  半兵衛の言葉と共に、新しい赤が舞う。思わず声を上げた慶次に、半兵衛の声が降り注ぐ。
「さぁ、啼け、もっと、もっとだ。余計なことを言わず、素直に啼きたまえよ。啼け、啼け、啼け、啼け……」
  繰り返される言葉。壊れた、自我、哀れな、人形。ああ、しあわせ、この幸せ。そう、お前の言うとおり、俺は狂った、狂ったお前と同じように。赤黒い、血の色、俺を、お前を、染め上げる。

 

  ああ、幸福な、我ら幸福な恋奴隷。


                                                幕

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戦BAの半兵衛と、FF7のザックラにぞっこんフィーバー中。

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