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すいーと・すいーと

黎が管理・運営しているきまぐれブログです。 初めてお越しの方は、カテゴリー「about」内の「はじめに」という記事をご覧ください。 女性向け要素、同人要素を含みますので、苦手な方はご注意ください。

2024.05.19
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2009.06.04

なんとか1本書きましたザックラ!!! 
よ、良かった……なんとか第1週に1本上げられた…;;

まぁ、もともと途中までは書けていたのですが、
いまいち進みが良くなくて……
おかげで途中でザックスが、慶次君宜しくどよんと落ち込んだり、
そのために話が微妙に暗くなりかけましたが…;;


本日アップする話は、熱出して看病して、
その間になんか色々もやもや考え込んじゃって…
みたいな感じの話です。
相変わらずの、神羅時代のザックラ。
ほろ苦い感じではありますが、最後はいつもどおり甘いですvv

あと今回、例によってセフィロスも出てまして。
単純に幸せしてるのは、彼かもしれません(苦笑)
ちょっと前にアップした話の流れで、セフィ→クラになっています。
まぁ、ザックスもクラウドも、気付いてはいないのですが。


それでは、お読みくださる方は、
どうぞ続きにお進みくださいませ!!









 


「bitter, and Sweet」



  寝室から、苦しそうな咳が聞こえてくる。キッチンで粥を作っていたザックスはふと心配になったが、何か食べさせなければ薬を飲ませることもできない。彼は当惑気味に小さく息を漏らしながら手早く粥を仕上げ、一杯の水と共にお盆に粥を乗せた。
「クラウドー、入るぞ~?」
「うん」
  ノックの代わりに声をかければ、すぐさま返ってくる返事。そして苦しそうな咳が続く。本当に、かなり重症のようだ。ザックスはお盆を片手で持つと、やや控え目にドアを開ける。すると、ドアを開けに来たのだろうクラウドがそこにいて、海色の瞳と目が合った。
「あっ、ごめん、ザックス。俺、邪魔だな」
「んなことないって。ありがとな、クラウド」
  慌てて退きながら謝るクラウドに笑いかけ、そっと奥を伺う。馬鹿でかいベッド、そこで病人が上体を起こしていた。
「悪いな、ザックス…」
「あーもー、起き上あがんなって」
「でも、起きてもらわなきゃ、お粥食べてもらえないよ?」
  そりゃご尤も、と苦笑するザックスにつられ、病人も咳混じりに笑う。ざっくりと纏めた長い銀髪が僅かに揺れた。
  風邪でいきなりダウンしたのは、セフィロスだった。
  今朝、まだ起き抜けだったザックスのケータイに、突然かかってきた上層部からの電話。いきなり何事かと思えば「緊急任務」だと伝えられ、詳細を聞けば「セフィロスの看病」とのこと。想定外の展開にザックスは目を点にしたが、どうも英雄が体調を崩して寝込んでいるなどと、とても外部に洩らしたくない、というのが上層部の考えだそうで。セフィロスと親しく、且つ同じ1stであるザックスに、看病役が回ってきた、ということらしい。
  旦那が体調崩すなんて意外だ、というのが正直な感想ではある。とはいえセフィロスも、どれだけ英雄と奉られようが、一般人より遥かに強くて多少頑丈なことを除けば、やはりザックスやクラウドと同じ人間なのだ。風邪の原因までは知らないが、やっぱり気の毒は気の毒である。ちょうど他の任務はなかったし、世話にもなってるしな、ということで、ザックスは今ここにいるのだった。
「で、食えそうか?」
「ああ…、大丈夫だ」
  まだ熱が高く、傍目に見ても相当だるそうである。無造作に前髪を退けたセフィロスを見て、クラウドが水に濡らしたタオルで、セフィロスの汗を軽く拭った。
「済まないな、クラウドまで」
「い、いえっ、そんな」
  セフィロスに優しい微笑みを向けられたクラウドが、少し頬を赤く染める。…まぁ確かに、熱で瞳が潤み、頬はうっすらと赤らんで、しかも熱い吐息を零しているセフィロスは……壮絶な色気を放っているので、ザックスですらちょっとドキドキしているのだから、まぁ、自然な反応だろうか。……正直、ちょっと気に食わないけれど。
  因みに、クラウドまでセフィロスの部屋に来ているのはザックスのせいだった。たまたま仕事が休みだった彼にセフィロスの看病に行くと告げたところ、あまりに心配そうな顔をしたので、深く考えもせずに連れてきたのだ。クラウドはセフィロスに憧れているし、いつの間にか親しくなっていたようだから、まぁいいか、と思ってのことである。
  だがしかし。
  だが、しかし。
「あ、俺、水取り替えてきます」
「おう」
  赤い顔で逃げるように部屋を出ていくクラウドの背中を見ながら、ザックスは彼を連れてきたことを、少々悔やんでいた。
  クラウドがセフィロスに憧れているのは前から知っている。それがあくまで「英雄」としてのセフィロスに向けている視線であり、それ以上の意味などないと、ザックスには分かっているはずなのだが。
  クラウドが自分以外の奴を前にして、あんなに赤くなるのを見ることは、予想を遥かに上回るほどに面白くないことだった。
「はぁ…」
「……悪い」
「はっ??」
  思わず溜め息を漏らしたザックスに、突然セフィロスが謝る。無意識だったザックスは、その意味を計りかねて間の抜けた声を上げてしまった。
「まさか、こんなに誰かの手を煩わせてしまうとは……」
「あ、いや、そうじゃないって! ごめん、今のなんでもないから!」
  心底申し訳なさそうなセフィロスを見ると、罪悪感が込み上げてくる。セフィロスは何も悪くないのだ。こいつがもっと憎らしい奴だったら、話は別だったかも知れないが。
「食べ終わったら、ちゃんと薬飲んで寝とけよ? 俺、ちょっと買い出しに行くからな」
「ああ…」
  答えながらも咳こむセフィロスをひとりにするのは、なんだか気が引けた。体調が悪いとき、人は得てして他人の温もりを求める。そんな素振りは見せないとはいえ、セフィロスだって同じだろう。クラウドには残ってもらおう、と思いながら、ザックスはクラウドを呼びに行く。と、後ろから、いつもより弱い声がかかった。
「クラウドと一緒に行くのか」
「いや、残してく。ひとりじゃ不安だろ?」
「いや。一緒に行ってこい」
  思わぬ言葉に、ザックスは目を丸くして、少々首を傾げる。
「なんでだよ?」
「クラウドは、休みだというのに、俺の看病に来たのだろう」
「あ、そういうことか」
「俺は大人しく寝ている。暫く、ふたりで出てくればいい」
「ん~…」
  ザックスは少しためらった。セフィロスがそう言ってくれたところで、クラウドが申し訳なさそうな顔をするのが目に浮かぶ。
「失礼します」
  ちょうどクラウドが戻ってきて、ザックスは振り向いた。様子を伺うその視線に気付き、今度はクラウドが首を傾げる。
「どうかしたのか?」
「んー、セフィロスがさ、ふたりで買い出しに行ってこいって言ってんだけど」
「えっ?」
「お前たちに伝染したくはないからな」
  セフィロスが促すと案の定、クラウドが「でも」と言いかけた。しかし唇はそれを紡がず、窺うようにザックスを見上げる。多分、クラウドは自分では結論を出さない。ザックスはそれと気取られぬように苦笑して、それぞれふたりに言った。
「じゃ、お言葉に甘えますか! な、クラウド」
「う、うん」
「セフィロス、また後で来るからな~」
「ああ」
 促されたクラウドは、礼儀正しくセフィロスに礼をする。彼の唇が「お大事に」と控えめに紡げば、セフィロスは優しく微笑み返した。その微笑に、クラウドの頬が赤く染まる。
 なんとも言いがたい微妙な心境に陥って、ザックスは内心でうめいていた。



              *          *          *



「ザックス、どこに行くの?」
 意外にも、それがクラウドの第一声だった。
「んー、とりあえず、食料の調達だな。旦那の部屋の冷蔵庫、まるで空っぽなんだもんなー」
「うん……、そう、だよな…」
 何かを思い出したのか、クラウドが僅かに言いよどむ。それに気付いたザックスは、普段は大して気にしないのに、今日はやけに気になって、遠慮なくクラウドに問いかけた。
「前になんかあったのか?」
「なんかあった、っていうか…。前に俺がセフィロスさんちに泊めてもらったとき、ご飯はどっかのシェフに持ってこさせたみたいなこと言ってたから」
「え、まさか…朝からか?」
「……うん」
 驚きを通り越して、ザックスは呆れた。なんたる贅沢だ、あんにゃろう。冷蔵庫の中身が水分だけでも、あまり不思議ではない。たくさんバナナとか買い込んどいてやる。
「なぁ、ザックス」
「ん?」
 今度はクラウドから話しかける晩だった。今度こそ来るか、と思ったザックスは、無意識のうちに僅かに構えてしまう。
「セフィロスさんなんだけどさ」
「ああ」
「ひとりにしてあげたほうが、いいのかな」
「ん??」
 予想通りの言葉に続いて、想定外の言葉。ザックスは目を大きくして、クラウドを見る。するとクラウドも、なぜそんな反応をされたのか分からなかったのだろう、驚いたようにザックスを見上げてきた。お互いきょとんとして見つめあう様子は、結構間抜けに違いない。
「な、なに、ザックス」
「あ、いや、なんで?」
「え、だって、セフィロスさん、ひとりのほうがゆっくり眠れるのかなって」
「あ、そう…」
「ザックス、なんか今日、変だぞ?」
「ん~~~……」
 クラウドからストレートに問いかけられ、ザックスはがしがしと頭をかく。クラウドに突っ込まれてしまった以上、素直に思っていることを言ったほうがよいのか。ああもう、面倒くさい! と考えるを放棄して、ザックスは小さく溜め息をついた。
「いや、さぁ……」
「うん」
「お前のこと、セフィロスんとこに連れてかなきゃ良かったなー……とか、思ってた、だけ……」
「は?」
 今度はクラウドがきょとんとする番。訳が分からない、という表情に、ザックスはなんだか惨めになって、目を合わせられなくなってしまう。
「だって、お前、セフィロス見て赤くなってるし?」
「え、あ、だって、なんかすっごい色っぽかったから、ドキドキ…し、て」
「まぁ、それは俺もわかるんだけど」
 そうじゃない、そうじゃないんだ、と、ザックスはどんどん惨めな気持ちになっていく。クラウドはただ、憧れの英雄を心配しているだけだというのに。ザックスがこんな風に思っていると知ったら、引いてしまうだろうか? 
「お前さ、あいつに憧れてるだろ」
「…? うん」
「………そう思ったら、なんか、すっげえ、むしゃくしゃして。セフィロスはただの病人で、お前は心配してるだけだってのにさ」
「ザックス?」
「お前の気持ちがさ、俺以外の奴に向いてんの見んの、すっげー嫌で、さ……」
 今度漏れたのは、深い溜め息。言っているうちに、自分の本音に気付いてしまった。
 自分はただ、クラウドが自分以外の奴を見ているのが嫌なだけだ。だからといって、病人相手にむしゃくしゃして、挙句の果てにはセフィロスに気を遣わせてしまっている。
(うわ、俺、カッコ悪……)
 気付けばひとりでどん底まで落ち込んでしまって、クラウドの前で立ち尽くしていた。
 あまりの惨めさに、ザックスは続きの言葉を紡げない。クラウドのほうも、どう話しかければいいものか図りあぐねているのだろう。馬鹿みたいに、ふたり向き合ったまま、互い黙り込んでしまった。
 やがて、クラウドがゆっくりと唇を動かした。
「あの…さ、ザックス」
「……うん」
「ザックスも、そんなふうに思うこと、あ、ある…ん、だ」
「…………うん」
 そんなに追い詰めないで欲しい。ザックスはますますうなだれてしまって、ただクラウドの言葉を待ち続ける。
 が、なかなか続きは来なかった。
 先ほど以上の、無言の間。さすがに違和感を覚え、やがてザックスは僅かに視線を上げる。そして、視界に入ったものに、驚いて目を丸くした。
 なぜかクラウドが、赤くなっていた。
「は……? クラウド??」
 ザックスが間抜けな声を出すと、クラウドはそれにすら反応して肩を震わせ、顔はますます赤くなっていく。今度はザックスが訳がわからなくなり、クエスチョンマークを浮かべてクラウドに問いかけた。
「な、なんで? 赤くなるとこなのか??」
「……っ」
「クラウド? なぁ、大丈夫か?」
「ざ、ザックス…が」
 少しもじもじしながら、クラウドが口を動かす。口ごもった言い方が聞き取りづらく、ザックスはクラウドに顔を寄せた。するとクラウドがいっそう赤くなってしまい、ザックスが促すまで話せなくなってしまう。
「クラウド、なに?」
「………んな、こと、思う、なんて」
「そんなこと…?」
「ゃ、やきもち…焼いて、くれる、とか、思わなかった、か、ら」
 蚊の鳴くような小さな声で、ようやくクラウドがそう言った。
 ザックスは仰天する。引かれるかと思いこそすれ、こんな反応が返ってくるとは。まさかクラウドは、ザックスがやきもちなど焼くはずがない、とでも思っていたのだろうか? クラウドが、誰とどんなことをしようとも? 
「や、そんな、カッコわりーけど、俺だってヤキモチのひとつやふたつ……」
 正直ちょっと反応に困り、ザックスは控えめに頭をかく。妙な気分で赤くなっていると、すっかり下を向いてしまったクラウドの唇が、僅かに動き始めた。
「…………ぉ」
「ん?」
「俺、みたぃ、で、なんか」
「え……」
「び、びっくり、し、た」
「………」
 びっくりした、はこっちの台詞だった。
 確かに今までも、クラウドの口から「俺なんかでいいの」みたいな言葉を聞いたことは何度もある。でもそれは、クラウドが自分に自信が持てないから、そういう言葉が出てきたのだとばかり思っていた。
 もしかして、そうではなかったのか。人好きのするザックスが、いろんな人と、クラウド以外のいろんな人と仲良くしているから。そんなザックスを見ているうちに、クラウドはやきもちを焼いて拗ねて自信をなくして、そういう発言に繋がっていたとでも言うのか。
 みるみるうちに、ザックスの頬が緩んでくる。
「~~~っ、クラウド―――っ!!!」
「う、わ…!!」
 どうしようもなくいとおしさがこみ上げてきて、衝動任せにクラウドを抱きしめた。
「愛してる!! クラウド、マジ大好き!! ホント大好き!! クラウド~~~っ!!!」
「ちょ、ざ、ザックス、やめっ…!」
「やだやめない!! お前可愛すぎ!! もう絶対お前放さない!!」
「こ、ここ、どこだと思って…!!」
 クラウドの言葉などお構いなしに、ザックスはぎゅううっとクラウドを抱きしめて、ハニーブロンドに顔を埋める。もう本当に、クラウドはどれだけザックスを喜ばせれば気が済むのだろう。ザックスがひとりで惨めな思いをして落ち込んでいたのに、こんなにあっさりと吹き飛ばしてくれてしまった。大好きも愛してるも、言葉じゃいくら言っても全然足りない。もっと言えば、抱きしめてるくらいじゃ全然足りない。
 苦い思いも、彼にかかればこんなにも甘く。
 ぱっとクラウドを放したとき、ザックスの顔はすっかり蕩けきっていた。
「クラウド!! 買い出し終わったら、一旦部屋に戻ろう!!」
「へ、一旦…って、セフィロスさんとこ戻るんじゃなくて?」
「そっ! 俺たちの部屋戻って、イイコトしよ♪」
「へっ……」
 目をぱちくりさせるクラウドが理解しているかなど、気にしない。ザックスは体を離した代わりに手を掴み、軽やかな足取りで駆け出した。でも、クラウドの速さに合わせるのは忘れない。



 苦い思いはスパイスなのです。

 甘ぁい恋を、もっともっと甘くするための、ね。


                                              fin.

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戦BAの半兵衛と、FF7のザックラにぞっこんフィーバー中。

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