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すいーと・すいーと

黎が管理・運営しているきまぐれブログです。 初めてお越しの方は、カテゴリー「about」内の「はじめに」という記事をご覧ください。 女性向け要素、同人要素を含みますので、苦手な方はご注意ください。

2024.11.22
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2009.03.14
本当は、ジタクジャでホワイトデーを書くつもりだったんです。
が、いざ書き上がってみたら、これはクジャミコではないのか!? 

というわけで、いきなり予告なしにネタバレになってしまいますが、
続きに放り込んであるのは、9本編のジタンとクジャとミコトの話です。
時期はエンディングのちょっと前といいますか、
イーファの樹の暴走後、かつエンディング前、という感じです。
ジタンとクジャは同居設定でございます。
お前なぁ…一体どんだけあの方の影響受けてんだよ…;
で、でも、とっても楽しかったです! 
なので、この設定での話は、またちょいちょい書くかもしれません。
ジタクジャには行かないのかな…。
DFFではセフィクジャ、9で3兄弟の話、と住み分けするかもしれません。
ちょっとジタンが慶次君っぽいかな…;
では、宜しければ続きにお進みくださいませv




とある家族の愛の形


  ふたりの兄の突然の来訪に驚くミコトを前にして、ジタンは満面の笑みだった。ジタンの隣では、クジャも穏やかに笑っている。
「あなたたちが来るとわかっていたら、私も準備をしておいたのに」
「へへっ、ごめんな、ミコト。いきなりで驚かせちゃったな」
  今まで、ジタンたちのほうからミコトに会いに来たことはなかった。イーファの樹が暴走を終えて以来、ジタンはクジャと共に人目を忍んで暮らしている。それを知っているのは、ミコトの他には彼女が暮らしている黒魔導士の村の面々だけだ。黒魔導士とクジャの微妙な関係を思い、これまでは来るのを避けていたのである。だから今日も、樹々を伝ってこっそりミコトの家に忍び込むという手段を取っていた。驚くのも無理はない。  ミコトはすぐに落ち着きを取り戻すと、笑顔こそないものの、ふたりの兄に席を勧めた。
「今日はどうしたの?」
「キミにどうしても渡したいものがあってね」
  そう答えたのはクジャだ。イーファの樹の一件以来、クジャは以前に比べ、どこか穏やかになったように思う。今でも激昂したり生来の女王様気質を覗かせることは多々あるが、特にミコトを前にすると、彼は途端に優しくなるのだ。女性には紳士的だとは聞いたことがあるとはいえ、恐らくそれだけではないだろう。あのとき、暴走したイーファの樹の中で、彼はジタンたちを助けようとしてくれたのである。
「渡したいものって?」
  対するミコトは、どことなく緊張気味だった。こちらの理由は単純だ。どうやら彼女は、歳の離れた美しい兄に憧れているらしい。もっとも、クジャも当の本人も、それに気付いてはいないようだが。ジタンにとって、こんな何気ない家族のやり取りは、とても幸せなものだった。にこにこと笑いながら、ジタンはクジャの続きを引き継いで言う。
「なぁ、ミコト。今日がなんの日か、知ってるか?」
「今日? …いいえ、知らないわ」
「3月14日は、ガイアだと特別な日なんだそうだよ」
  言いながらクジャがミコトの手を取った。緊張した彼女のしっぽがぴんと張り詰めるのを微笑ましく思いながら、ジタンは口を挟まずにふたりを見つめる。
「キミへのプレゼントだよ。僕たちの可愛いミコト」
「えっ?」
 ミコトがきょとんと首を傾げた。もらった物に当惑している彼女に対し、ジタンが補足の説明をする。
「今日はホワイトデーっていって、バレンタインにチョコをくれたレディにお返しの品を贈る日なんだ」
「そう…だったの」
  改めてプレゼントを見つめるミコトの頬が、ほのかに赤くなっている。バレンタインもホワイトデーも、テラには存在しない文化だった。ミコトはたまたま黒魔導士からバレンタインの存在を聞き、慣れない手作りのチョコを贈ってくれたのだ。
「さぁミコト、開けてごらん」
「ええ…」
  クジャに促されたミコトがプレゼントを開ける。中は小ぶりのショートケーキがワンホールだ。生クリームもイチゴもたくさん入っている特別製である。
「どうだ?」
「とっても甘そう。…その、あ、ありがとう…」
「へへっ、どういたしまして」
「このくらい、キミのためなら当たり前だよ」
  クジャが優しく囁くと、ミコトの頬がぽっと赤く染まった。
「わ…私、紅茶を淹れてくるわ」
「おや、いいんだよ、ミコト。そんなことジタンにやらせればいいんだから」
  照れて逃げようとしたミコトに、わかっていないクジャが声をかけたので、ジタンは笑顔で助け船を出す。ミコトはどこか困り顔だ。
「へーへー。それじゃあ、一緒に準備しようぜ。ケーキはどうする?」
「…ケーキは、あなたたちが良ければ、一緒に…」
「よしっ、じゃあさっさと準備しないとな!」
  もちろん、ミコトが一緒に食べようと言ってくれるだろうことは初めから予想していた。クジャが遠慮なくひとり座った気配を確認すると、ミコトと共にキッチンに立ち、小さな声で囁く。
「実はな、ミコト」
「なに?」
「ホントは、クジャが手作りのケーキを作るつもりだったんだ」
  驚いて声を上げそうになる彼女の口をそっと塞ぎ、「しーっ」と人差し指を立てる。ミコトが自分で口元を押さえたのを見ると、ジタンは笑顔で続きを話した。
「ミコトにお返しがしたいって、あの日ミコトが帰ってすぐに言い出してさ。それでホワイトデーのこと教えたら、ひとりで何か考え込んだんだよ」
「そう…だったの…」
「ああ。でもあいつ、普段キッチンなんか使わないから、せっかく頑張って作ってたケーキ、けしずみにしちゃったんだ」
  ジタンがそれに気付いたのは、家に着くなり焦げ臭いにおいが充満していたからだ。ジタンに作り方を請うのはプライドが許さなかったらしい。結局、そこから作り直すだけの気力はクジャにはなく――単に諦めて投げ出しただけかもしれないが――、実際に渡したのは、ここに来る前に買ってきたものである。それでもクジャの気持ちは、それだけでミコトを喜ばせるに充分だった。
「今の話、クジャには内緒な」
「……ええ」
  答えたミコトは真っ赤になっていた。
「ジタン、いつまで僕を待たせるつもりだい?」
「悪い悪い! すぐに行くよ」
  クジャの不機嫌な声にそう答えると、ジタンはミコトを促す。ケーキを切り分けるナイフや皿などもまとめて持っていくと、クジャにまたも苦情を飛ばされた。
「なんでミコトにまで運ばせているんだい? 女の子にそんなことをさせるなんて、信じられないよ」
「そこまで言うなら、お前も手伝いに来れば良かっただろ?」
「冗談じゃないよ! なぜ僕がそんなことをしなければならないんだい?」
「いいの、クジャ。私がやりたかっただけだから…」
  ミコトが控え目に言うと、クジャがにっこりと微笑んで立ち上がる。そしてミコトに歩み寄ると、優しい仕種で彼女の金髪を撫でた。
「ミコトはいい子だね。これからは、もっとジタンをこき使ってやればいいよ」
「ええ…考えておくわ」
「おーい、ミコトに変なこと教えるなよー」
「キミには働いてる姿が一番お似合いだよ? 僕なりの親切心さ」
「ったく、クジャは自分じゃなーんもしないんだからな~」
  そう言いながらも、既にジタンはケーキを切り分け始めている。取り敢えずきれいに6等分にして、そのうちみっつをケーキ皿に乗せた。
「ま、いいか。ほら、食べようぜ!」
「ええ…。ありがとう、ジタン」
  照れながらミコトが席に着き、次いでクジャも席に着く。もちろん、紅茶の準備も万端だ。
「それじゃ、いっただっきま~す♪」
「ミコト」
  ジタンが手を合わせて元気良く言った傍らで、クジャが優しい声で言った。ふと見ると、クジャは自分のケーキを小さく切り、フォークに刺したそれをミコトに差し出している。
「えっ…」
「ほら、口を開けなよ」
  優しく微笑みながらのクジャの言葉に、ミコトが一気に真っ赤になった。その様があまりに愛らしく、ジタンも口元を綻ばせる。クジャがもう少し促すと、ミコトが小さく口を開いた。その唇にケーキが触れると、ミコトは恥ずかしそうにぱくりと口に含む。暫くゆっくりと噛んでから、俯きがちのまま飲み込んだ。
「どうだい、美味しいだろう?」
  ミコトは未だに真っ赤っかだ。ジタンがにやにやしながら見ていることにも気付かず、彼女は小さな声で応じた。
「…甘いわ。その…と、とっても…」
  そんな彼女を見つめながら、クジャもなんだか嬉しそうに笑っている。ジタンも自然と笑みが漏れた。
  暖かい日差しが窓から差し込み、兄弟たちのティータイムを照らしていた。


                                              幕

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戦BAの半兵衛と、FF7のザックラにぞっこんフィーバー中。

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