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すいーと・すいーと

黎が管理・運営しているきまぐれブログです。 初めてお越しの方は、カテゴリー「about」内の「はじめに」という記事をご覧ください。 女性向け要素、同人要素を含みますので、苦手な方はご注意ください。

2024.11.22
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2009.03.12
おはようございます。半幸ホワイトデーを一足先にアップします~。
まぁイベント当日にアップするわけじゃないからいいかと思い、
普段ブログをいじってる時間に設定して予約してみました。

前からちょっと言っておりましたが、半幸前提の豊臣コンビの話です。
どちらかというと、半幸+秀ねね前提です。秀ねねは結婚済み。現パロです。
ホワイトデーの2日前の夜、ふたりが相談しあっているような。
普段、彼らがふたりだけでしゃべってるシーンを滅多に書かない分、
なんだかとっても楽しかったですvv
豊臣軍のネタはたまに書いてはいるんですが、
捏造キャラを交えていることが圧倒的に多いものですから;
そのうち、彼らもアップしていきたいと思っていますv
特に黒田官兵衛は、某友人がめっちゃ気に入ってくれているのでvv

…で、これも以前から言っておりますとおり、
ヒロイン不在の話になってしまいました…;
あうぅ、やっぱり当日用にイラストだけでも描くべきか…!(汗)

そんな感じの話ですが、宜しければ覗いてやってくださいませv




「初めてのホワイトデー」


  仕事帰り、半兵衛はいつものようにデパートの地下をぶらぶらと歩いていた。目当ての物はあるものの、どれもこれもピンとこない。さて、どうしたものか。普段プレゼントなど滅多にしない半兵衛にとって、ホワイトデーとは少々厄介な問題だった。義理チョコへのお返しならまだしも、今年は本命の相手がいる。正直なところ、こんなに悩む羽目になるとは思っていなかった。
  1時間ほど歩き回り、結局これといった収穫はないままに終わる。もっとも、適当な物を用意すれば、可愛い恋人が喜んでくれることは分かりきっていた。しかし、バレンタインにあれだけ頑張ってくれた恋人の気持ちを考えると、さすがに気が引けてくるというものだ。かと言ってどうするべきか。ひとり悩んでは答えが出ずに問いを繰り返す。3月に入ってからというもの、もうずっとこんな調子だった。
  デパートを出、半兵衛が思わず小さな溜め息を吐いたそのとき、不意に声がかかった。
「おぉ、半兵衛ではないか」
  思わぬ声に驚いて振り返る。見やると、無二の親友が、微笑みながら半兵衛を見ていた。半兵衛はすぐさま彼に歩み寄る。
「秀吉…! 久しぶりだね、いつ戻ってきたんだい?」
「つい先ほど、ここまで戻ってきたところよ」
「そうか、じゃあ疲れたろう」
「なに、たいしたことはない。仕事は定時に上がれたからな」
  秀吉は言葉のとおりに明るく笑い飛ばす。彼が単身赴任したのは、もう半年以上前のことだ。
「それにしても、戻ってくるなら連絡くらいしてくれても良かったじゃないか。ねねの嬉しそうな顔が目に浮かぶよ」
  そう言う半兵衛も、明らかなまでに嬉しい顔をしていたが、本人は気付かない。彼にとって秀吉は、親友であると同時に誰よりも敬愛している男だ。やはりこうして顔を合わせられれば、この上なく嬉しい。
  ところが秀吉は、半兵衛の言葉に対し、やや言葉を濁した。
「どうかしたのかい、秀吉」
「ム、いや、たいしたことではないのだが。…半兵衛、少々相談に乗ってくれんか」
「勿論。君の役に立てるのなら喜んで」
  そう言って半兵衛が微笑むと、秀吉が大きく頷いた。その表情が幾らか固い。とはいえ、ねねと何かがあったようには見えなかった。秀吉は少々気まずそうに、大きな体を屈めて小さな声で告げる。
「実は、ねねには言っておらぬのだ」
「おや、そうだったのかい」
「うむ。…もし良ければ、しばしお前のもとで厄介になれぬか」
「それは構わないよ。でも、随分と急だね」
  秀吉がねねから隠れるような事態には心当たりがない。喧嘩したというのなら、秀吉より先にねねが半兵衛に相談してくるのが常だ。それに秀吉も、今はたまたま半兵衛を見つけたに過ぎないようだった。すると秀吉が、ますます声を小さくして囁く。
「詳しいことは後で話す。2日間程で良いのだ」
  その数字を聞くなり、半兵衛は何かを得た気がした。
「わかった、喜んで協力しよう」
「そうか、ありがたい」
「とんでもない。君の役に立てるなら嬉しいさ」
  秀吉の返事から察するに、どうやら読みは当たったようだ。今日明日と2日間だけ厄介になりたいというのなら、Xデーは明後日ということである。秀吉の考えそうなことだ。なんだか微笑ましい。
  ふたり並んで半兵衛が暮らすマンションに向かう途中、秀吉が半兵衛に問うた。
「先ほどまでデパートに寄っていたようだが、何か探しておったのか」
「僕が何を?」
「お前は、人に何かを贈ることに慣れてはおるまい」
  どうやら、こちらも見事に読まれていたようだ。半兵衛ははぐらかすのをやめ、僅かに肩を竦める。秀吉なら無闇に言い触らしはしない。
「やっぱり君には誤魔化しがきかないね」
「話してみよ。そのような類いのことならば、多少は力になれよう」
「いや、君が思っているとおりだ。悩むものだね、本命のお返しというのは」
  半兵衛が苦笑気味に言うと、秀吉が優しく笑う。何を笑われたのだろう、と首を傾げると、秀吉がにこにこと笑いながらこう告げた。
「お前のような智恵者が、そのような悩みを持つとはな」
「そういう言い方は、少し傷つくな、秀吉」
「すまぬ、半兵衛。だが、我は嬉しく思っておるのだ」
「何が?」
「お前が本気で悩むことができるほど、愛しいと思う者ができたことよ」
  そう告げる秀吉は、にこやかであると同時に、心底から楽しげだ。まさか秀吉にからかわれる日が来ようとは。誰に対してか苦笑を漏らしつつ、半兵衛は秀吉に先を求める。
「酷いなぁ、まるで僕が誰に対しても適当な付き合いしかしていないみたいに。相談に乗ってくれるんじゃなかったのかい、秀吉?」
「ハッハッハ、無論だ。だが、応じることができるか否かは、お前の問いかけ如何ぞ、半兵衛」
「そう言われても。どうすればいいか、見当もつかないんだよ。こんなことは初めてだ」
「半兵衛」
「なんだい、秀吉?」
  見上げた秀吉は、からかう気配は微塵もなく、その微笑みは穏やかで優しい。唇に笑みを浮かべて待つ半兵衛に、秀吉が穏やかな声で告げた。
「お前のような智恵者が、そこまで考えてなお答えが得られぬのだ。我には答えは出せなかろう」
「こういうことに関しては、君のほうが経験が豊富だろう?」
「我は、もっと単純にしか考えておらぬのだ」
「と言うと?」
「何を贈ろうとも、相手を想う気持ちが伴わねば、高価な物も塵と同然ということだ」
  きょとんとした。
  そんな半兵衛の様子を見、秀吉が再びにっこりと笑う。
「何を驚くことがある。贈り物とはそのようなものではないか」
「いや」
  反射的に答えたとき、半兵衛は当惑を隠さず、緩く首を振っていた。
「まさか君の口から、慶次君のような文句が飛び出してくるとは、思いもしなかったよ」
「ハッハッハ。つまりはそういうことだ」
  言ったのが慶次なら耳も貸さなかっただろうが、秀吉に言われたのでは納得するしかない。彼がねねに内緒で戻ってきたのも、要するに彼女を想えばこそだ。とても真似できそうにはないが、胸に溜まっていたもやもやは、幾分晴れたように感じられた。
「少しはお前の役に立てたか、半兵衛」
「少しだなんて、とんでもないよ。ありがとう、秀吉」
「フフ、後でお前の話もじっくりと聞かせてもらおうぞ」
  子どものような表情を見せる秀吉に、半兵衛は少々反応に困る。恋人がまだ高校生の、しかも男の子だと白状したら、彼はどんな顔をするのだろう…。  曖昧な返事を返しながら、半兵衛は恋人の無邪気な顔を思い浮かべていた。彼が望むだけ甘いものを食べられるよう、デートにでも誘ってみようか。


                                            幕

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文字書きで絵描き。
戦BAの半兵衛と、FF7のザックラにぞっこんフィーバー中。

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