すいーと・すいーと
黎が管理・運営しているきまぐれブログです。 初めてお越しの方は、カテゴリー「about」内の「はじめに」という記事をご覧ください。 女性向け要素、同人要素を含みますので、苦手な方はご注意ください。
旅行明けに旅行記書くとか言ってたのはどこの誰だ。
思った以上に体にとってはハードな旅行だったらしく、
充分寝坊したくせにめっちゃ眠いですよ…;
旅行記は明日か明後日か、その辺りにアップしようかと。
とりあえず、一緒に行った薫とふたり、
戦BA+FFで人力車妄想がみなぎったことは書いておきます。
あと、コンビニの店員さんで、
もろにクラウド顔の男の子がいました。可愛かった…!
(でも態度は無印クラウドでした。笑)
そのコンビニに大量のポーションがあったのはいい思い出(違)
今日はザックラを1本上げます。
一応、先日アップしたものの続きです。神羅時代。
前野をご存じなくてもわかるとは思いますが、
最後は読んでないとわからないやも…;
ところで、私はFFではちょっと方向転換することになりました…。
これ書き終わったら、「はじめに」とかサーチ様に修正に参ります。
確実にザックラが好きすぎるんですよ…。
正直、ここまでストーンとまっしぐらに
落ちていくようにハマったCPは初めてで、
あまりに剛速球のストレートど真ん中ストライク過ぎて、
クラティーとかセフィクジャとか9の3兄弟以上に
とにかくネタが出まくるのなんので…
そうした方が嘘偽りがないような気がしてまいりました…。
うぅぅ、今まで来てくださってた方には申し訳が…
そうでなくても戦BAが少なくなっているというのに(大汗)
戦BAメインの態勢を維持していくのかも悩み中です。
メインとかサブとかではなく、並行してやったほうが良いだろう、と。
まさかFFでここまでハマっちゃうCPに
出会おうとは思ってなかったんですよ;
因みに、慶半は生まれて初めてハマったBLのCPでした。
とあるサイト様を拝見していて、ハマったというきっかけ。
半幸は、慶半がスランプになった頃に妄想しててハマりました(爆)
クラティーも、とあるサイト様の影響。
セフィクジャは、気付けばセフィロスを書くのが楽しいらしくて;
ちょっと前に書いたんですが、ザックラはCCのOP見ただけで
「これはハマるかもしれない」
とか思っちゃって、そのままストンと落ちましたから…;
なので、FFは「7のザックラ中心」になります。
なんだか移り気な感じになってしまいましたが、
これからもどうぞ宜しくお願いします(土下座)
それでは、長々と事務連絡になってしまいましたが、
お読みくださる方は続きにお進みくださいませ!
2本目にしてまさかの浮気疑惑です(えぇっ!)
内容はほのぼのですので、ご安心くださいませ(?)
※うっかり追記(3/26 11:49)
キリ番設定させていただきました…
もし宜しければ、構ってやってくださいませ(><)
「Warning!?」
人込みの中で目立つ金髪を探すも、肝心の恋人の姿は見つからない。頭が目立つとはいえ、彼の小柄な体格では見つからなくても無理はないし、逆にザックス自身は長身で目立つから、向こうがザックスを避けている可能性も充分ある。そして避けられる理由もなんとなく想像できた。ただひとつわからないのは、そう
なるに至った経緯だけだ。
「はぁ…」
ちょっと落胆してがっくりと肩を落とすと、ザックスは諦めて家路を辿り始めた。
ことの始まりは数日前に遡る。比較的短期間の任務を終え、神羅本社の近くにあるソルジャー用の寮でのんびりしていたときのことだ。
任地から戻ったのが深夜になってしまい、ぐっすりと爆睡することおよそ半日。目覚めたときには既に夕方になっていて、少しでも体を動かそうかと本社にあるトレーニングルームに向かう途中、ザックスは恋人のクラウドの姿を見つけた。彼と一緒にいたのは、珍しいことに、伝説と謳われるソルジャー、セフィロスだった。ザックスはふたりに声をかけようとして、すぐさま思いとどまる。クラウドが、何かを必死に訴えているように見えたのだ。そして相対するセフィロスは、唇にうっすらと笑みを浮かべている。よく考えたら、一兵士であり今日は仕事の日であるクラウドは、今は正に仕事中の時間ではないだろうか。しかし今の彼を見ていても、何か任務の関係でセフィロスと話しているとか、そんなふうにはとても見えない。むしろ、仕事の合間に抜け出してきたとしか思えなかった。ソルジャーの寮など、普通は一般の兵士が来るような場所ではないのだ。もっともクラウドはザックスの部屋の合鍵を渡してあるくらいなので、多少事情は違ってくるのだが。
声が聞こえない位置にいるせいもあって、ザックスは少々いぶかしむ。まるで、クラウドがセフィロスに弱みを握られているようにも見えた。クラウドの必死さがそう思わせたのだ。俺のクラウドに何を、と思ったザックスが近付こうとした刹那、突如としてクラウドの様子が変わった。セフィロスに何事かを囁かれ、かっと顔を赤く染めたのだ。
それはまるで、ザックスが甘く囁きながらキスをしたときさながらの反応だった。
会話が聞こえないザックスは軽くパニクり始めた。クラウドがセフィロスに憧れていることなら前から知っている。だがそれはあくまで「伝説のソルジャー」への憧れに過ぎないはずであり、恋慕とかそのような類いのものではなかったはずだ。しかし目の前では、愛を囁かれているかの如く頬を赤く染めたクラウドが、両手で持ったマスクに顔を埋めんとばかりに恥ずかしがっている。一方のセフィロスの、何やら楽しそうなこと。ついにセフィロスの大きな手が、優しくクラウドの頭に伸びた。ぴく、と反応するクラウドの細い肩。そのまま僅かに近付く、ふたりの顔。
ザックスはもう限界だった。
「よう、クラウド! なに話してんの?」
わざとらしく大きな声で言うと、クラウドが仰天して顔を上げた。途端、ただでさえ赤くなっていた顔が、一気に耳まで染まる。彼がこういう場を見られると盛大に恥ずかしがることは、先日目の前の男にキスシーンを見られたときの反応からも明らかだ。だが、今の反応は、果たしてそれだけのものなのか。ザックスは笑っていたものの、内心は穏やかではない。お前は俺の恋人だろうが。そう言いたくなるのをこらえるのに必死だった。
「ざ、ザックス」
「珍しいな、セフィロスになんか用だったのか?」
「いや、大したことじゃないんだ」
「それにしちゃあ、随分と赤い顔してるけど?」
指摘されたのが恥ずかしかったのか、クラウドが身を縮める。だからちょっと待て。ここはそういう反応をするところじゃないだろ。恋人に、浮気とも取れる瞬間を見られたんだぞ、お前。
「クラウド、時間は大丈夫なのか」
そう助け船を出したのは、あろうことかセフィロスだった。クラウドははっとして顔を上げると、慌ててふたりのソルジャーを交互に見やる。
「あ…、もう戻らないと! ザックス、ごめん、また!」
「おい、待てよ」
さっさとマスクを被るクラウドを引き止めようと手を伸ばしたが、それをやはりセフィロスが止める。
「行かせてやれ。叱られるのはこいつだぞ」
「あ、ありがとう、セフィロスさん」
そんなふたりのやり取りが、たまらなく気に入らなかった。クラウドは遠慮なく、足早に立ち去ってしまう。
ふたりのソルジャーだけになると、ザックスはむっと口を曲げてセフィロスに問うた。
「…で? なんの話してたんだよ」
「誰にも言うなと言われている」
どこか楽しそうに言うセフィロスに神経を逆撫でされ、ザックスは彼の正面に立つ。ザックスに気圧されるセフィロスではないと知りつつも、思い切り睨み上げていた。
「あいつは俺の恋人だぞ? 聞く権利はあるんじゃないのか」
「それはお前の都合だな。俺はあいつとの約束を優先する」
「俺にも言うなって?」
「ああ。ザックスには絶対に言わないでくれ、と念を押された」
ザックスの胸がひどくざわつく。一体なんだってんだ。
結局セフィロスから聞き出すことは叶わず、ザックスはむしゃくしゃした気分で部屋に戻る羽目になってしまった。むしゃくしゃはそのままクラウドへの怒りと変わり、ザックスを酷く嫌な気分にさせた。
訳がわからなかったこの事態に対し、クラウドがザックスを避けていると仮定した場合、話は非常に単純なものになる。イライラしていたザックスはクラウドを捕まえて話を聞き出そうとしたのだが、あまりに状況が悪かった。食堂で同期らしき友人たちと共にいたクラウドを文字通り捕まえると、人目も憚らずにその場で乱暴にクラウドの口を割らせようとしたのだ。たまたま居合わせたカンセルが驚いてザックスを捕らえ、クラウドたちを逃がした後になってからザックスはようやく我に帰ったものの、冷静になった脳裏に浮かぶクラウドの怯えた表情が忘れられない。見事にビビらせてしまった。これに関しては、どう考えても自分が悪い。
そんな訳で、自分の乱暴な所業について謝りたい一方、クラウドとセフィロスの内緒話が気になって仕方がなく、やっぱりこれはクラウドを捕まえるしかない…という結論しか導き出すこともできなくて、こうして探しているのだが。クラウドの顔を見れないままに、むなしく時間が過ぎていくだけにとどまっていたのだった。
大体、クラウドがセフィロスにどんな話があったというのだ。ふたりはせいぜい顔見知り程度の知り合いに過ぎず、クラウドが悩みを打ち明けたりするにはあまりにも相手が偉大すぎる。それに、あのときのふたりの様子。あれではまるで、クラウドが必死に愛の告白をして、セフィロスが「可愛い奴だ」とか言いながらたぶらかしモードに突入したかのような……
「あ――っ、やめやめっ!!」
自分の妄想フィルターのせいで、いちゃつき始めるふたりの声すら聞こえた気がした。
もし万が一、浮気だとしたら。ひやりとしたものが背中を伝う。ザックスにとって、こんなに夢中になった相手は初めてなのだ。何かクラウドに嫌われるようなことをしただろうか? それとも、セフィロスが上手いことを言って、クラウドを誘惑したのか。だがあの男が、イメージに反して不器用なあの男が、ザックスの恋人だとわかっていてクラウドに手を出すことなど有り得るのだろうか? いや、もしかしたら、セフィロスの怒りを買ってしまって、復讐代わりにクラウドを横取りしようとしているとか…? 確かにセフィロスとは、先日までのように何度か共に任務をこなしているから、ザックスが気付かぬうちに何かやらかした可能性は拭い切れない。
そこまで考えて、ザックスはますますヘコんだ。よりによって、なんであのふたりを疑わなきゃならないんだ。最愛の恋人と、こんなに信頼している男を。寮まではあと少し、部屋に戻ったらもう寝てしまおう。
とぼとぼと歩きながら、ザックスはさみしい溜め息をついていた。
と、ザックスは前方の人影に気付き、目を大きく瞬かせる。ソルジャーの寮の前、ぽつんと立っている小柄な背中。跳ねまくった金髪が風に揺れていた。 クラウド、と喜びに任せて叫びかけて、ザックスはその口を閉じた。大きな声で呼びかけては、きっとまたビビらせてしまう。ひとつ深呼吸をしてから、ゆっくりと小柄な背中に歩み寄る。すぐそばまで近付いても気付かない恋人の肩に、ぽんっと手を乗せた。
「わっ…」
「何してるんだ、クラウド?」
驚きに身を震わせたのも一瞬で、ザックスの声にほっとしたような顔をして振り向く。ほら、簡単にこんな顔を見せるじゃないか。安堵しきった顔はふたりきりで過ごしているときと変わらず、どうやら避けられていたという説は思う存分斬り捨てられるようだ。
「ザックスに会いたくなって…」
そんな可愛いことを言われては、ザックスとしては喜ぶしかない。遠慮なくクラウドの肩を抱きながら、上機嫌でクラウドを部屋に誘う。
「まぁ話は部屋に着いてからだ。なっ」
「うん」
と答えたクラウドが、僅かに身動ぎした。
それに反応してしまったのはザックスのほうだ。今の身動ぎは、クラウドが嫌がったようにしか思えない。ちょっと待ってくれ、俺に触られたくないとか言わないよな?
「ん、どうした?」
不安を誤魔化すように声をかけるが、結局それをすぐさま後悔することになる。
「いや、その…。ちょっと近いな、って」
困ったように告げられたのは、遠慮がちなれど拒絶の言葉。
頭の中が白くなっていくような感覚に、ザックスは襲われていた。
悪い悪い、と言いながら手を離すが、内心では猛吹雪が吹き荒れている。付き合い初めてからこの3ヶ月の間、散々ザックスの部屋でイチャついたりしていたというのに、今さら肩を抱いたくらいで「近い」と言われるとはどういうことだ。そんなに嫌われるようなことをしてしまっただろうか。理性がぶち切れてうっかり襲ったとか、そういう覚えは全くない。クラウドが怒ったりしているようには見えないのが、またひとつ気になっていた。怒ったり怯えたりしているならば、確実に先日怒鳴って詰め寄ったのが原因だ。しかし、怒ったりしているのでなければ、しごく単純に「あんまりザックスに近寄られたくない」というだけの話になる…が、それはつまり恋人という関係の破綻を意味するわけで。
「ザックス? どうかした?」
一方では無邪気にそう言って見上げるのだから、正直たまったものではない。世間知らずの無垢な少年とばかり思っていたが、今さら正体は小悪魔だったとか言われている気分だ。なんでもない、と答えた声の、なんと張りのないこと。
結局、部屋に着いたザックスは、クラウドを座らせてキッチンに行くと、思いっきり壁に手をついてうなだれてしまった。
ようやくクラウドとふたりになれたというのに、謎は深まる一方だ。本人に尋ねるべきだと訴える自分と、取り敢えず触れずにおこうと引っ込み思案な自分の間で板挟みになる。訊くにしても何をどう訊けばいい。セフィロスと何を話していたのか、なぜ今さら拒絶するのか。ストレートに聞いて平気な顔をしている自信など、今は悲しいくらいにない。
飲み物を取りに行っただけのはずのザックスがなかなか戻ってこないのを不思議に思ったクラウドがキッチンに現れるまで、さほどの時間はかからなかった。
「ザックス? 本当にどうしたんだ!?」
「ああ、いや、なんでもないって」
「そんなふうには見えない」
まあそうだろう。クラウドに心配をかけさせるような姿はあまり見せたくないとはいえ、今ばかりは心配してくれることすら嬉しく感じる。少なくとも心配してくれるくらいには想われているのだ。…ってちょっと待て、それは恋人とかそういう次元の話ですらないぞ、俺。
「…なぁ、クラウド」
「うん」
「お前さ、俺のこと、好き?」
意思とは関係なしにぽろりと言葉がこぼれる。今さら何を言ってるんだと、心の中でひとり突っ込んだ。
が、その言葉が、思いもよらぬ効果を発揮した。
心配そうにザックスを覗き込んでいたクラウドの顔が、一気にぱっと赤く染まる。思わずきょとんとするザックスの目の前で、暫く口をぱくぱくさせた。予想外の反応にザックスがやや困惑していると、クラウドはどもりまくりながらこう答える。
「な、な、そ、そんな、そ、そんなこと、今さら言わせるのかっ…」
全身を強張らせながら口もとを隠し、何やら必死に冷静になろうと頑張っている。それはどうやら、彼にとってもザックスの言葉が物凄く予想外で、且つ恥ずかしくてたまらないものだったことを示しているようで。遂には彼は、真っ赤になったまま視線を外してしまった。
「…言ってくれないのか?」
それがクラウドに対する追い討ちだと気付かないまま、未だにきょとんとしてザックスは聞き返す。途端、目の前で恥ずかしそうに小さく身動ぎする小柄な体。
意図せずして美味しい展開になった気がして、ザックスは内心ちょっとワクワクし始めた。
暫く待っていると、クラウドの口もとの手が不安そうに外れ、襟首をぎゅっと握り締めた。恥ずかしさを必死にこらえながら、小さく唇が動き始める。
「…す、す、…っ」
「なに、なに? 聞こえないって」
「っ…! …す……す、…き……」
途切れ途切れの、しかし立派な愛の告白。ザックスの胸から、先ほどまでのもやもやが一気に飛んでいった。よく思い返してみれば、クラウドの口からその単語を聞くのは初めてのことだ。
が、ここで単純に喜んでいては話が続かない。クラウドの告白のお陰で持ち直したザックスは、あけすけにクラウドに問いかける。大分いつもの自信が戻っていた。
「…じゃあ、こないだセフィロスと何を話してたか、教えてもらえるか?」
「えっ…」
未だに赤い顔をしたまま、クラウドが顔を上げる。その顔に滲んでいるのは、僅かな困惑だ。ザックスは苦笑気味に肩をすくめ、もう一度クラウドに問いかけた。
「教えてくれたっていいだろ? 俺、お前が俺以外の奴と内緒話してたの、ちょっとだけショックだったんだよ」
「別に、ザックスに話すようなことじゃあ…」
「俺には言うなって、念押したらしいな?」
あまり責めないように優しい声で言ったが、クラウドはまた視線を泳がせてしまう。そんな姿を見せられては、ザックスとて困るというもの。この状況を作り上げた分、ザックスは一度しっかり頭を下げる。まだ謝っていないことがあったのだ。
「こないだ怒鳴って詰め寄ったのは、俺が悪かったよ」
「そんな…」
「あんなふうに怒鳴ったりしないからさ、教えてくれないか?」
頼む、と付け加えると、クラウドの海色の瞳が揺れる。
再びクラウドの唇が動き出すまで、さほどの時間はかからなかった。
「…本当に、大したことじゃないんだ」
「聞かせてくれ」
「……うん」
小さくクラウドが頷くのを見るや、ザックスの胸が波打ち始める。クラウドの言葉を聞き逃すまいと、じっと耳を澄ました。
「…あの日、セフィロスさんに会ったのは、たまたまだったんだ」
「あ…そういえば、なんであの時この寮にいたんだ?」
「ちょっとだけ時間ができたから、ここに忘れ物を取りに来たんだよ」
「忘れ物?」
「…うん、まぁ、大した物じゃないよ」
気にはなったが、取り敢えず今は我慢する。聞きたいのはこの先の話だ。
「それで、なんの話してたんだ?」
「……その…、誰にも言わないで欲しい、って」
「は?」
よく意味がわからない。
「言わないで欲しいって、何を」
促すものの、クラウドはなかなか口を開かない。代わりにますます顔が赤くなっていく。心配すると同時にいぶかしんでしまう。ザックスにも隠したい何かが、クラウドとセフィロスの間にあったということではないか。再び胸がざわついてくる。
待つこと、およそ20秒ほど。ようやくクラウドがゆっくりと口を開いた。
「……俺たちが、セフィロスさんの前で、き…キス、した、こと……」
「はあぁ??」
思わず出たのは素頓狂な声。
思わず呆気にとられたザックスに対し、クラウドが耳まで赤くなる。
「それって、俺が任務から戻ったあの日のこと?」
こくりと頷くクラウドも示すとおり、確かにザックスはセフィロスがいるところでクラウドにキスをした。そういえばあのとき、セフィロスがいることに気付いていなかったらしいクラウドは、セフィロスが立ち去るのを呆然と見送った後で、真っ赤な顔をしながらぽかぽかとザックスに殴りかかってきたのだが。
「く、口止めしなきゃならないほど恥ずかしかったのか…」
「……」
言葉を発しない代わりに、クラウドはもう一度頷いた。
「じゃ、もしかして、さっき下で肩寄せたときに『近い』って言ってたのも?」
人目があるところで触れ合うのが恥ずかしかったと、ただそれだけのことだったというのか。
頷くクラウドを見ているうちに、ザックスはなんだか力が抜けた。全ては杞憂に過ぎなかったのだ。それどころか、クラウドはこんなにも自分を好いてくれていたではないか。
「それならそうと、早く言ってくれれば良かったじゃないか。お前がそんなに嫌がってるって知ってれば、俺だってお前が嫌がることはしないよ」
「…うん、ごめん…」
「謝ることじゃないだろ?」
クラウドの頭を撫でると、彼が小動物のように温もりを喜んでいるのがわかる。こそばゆそうに目を閉じて安心している様は、まるで子猫のようだった。
「それで、セフィロスは了承してくれたんだな?」
「うん。…でも、あんなにからかわれるだなんて思わなかった」
「それであんなに赤くなってたのか」
「うん…」
リビングに戻ってソファに座りながら、ザックスは声を出して笑う。確かにセフィロスがクラウドをからかっているという図は、いまいちしっくりこない。もしかしたらセフィロスも、彼なりにクラウドを気に入ったのだろうか。もっとも、譲ってやる気は皆目ないが。
すっかり安心してザックスがくつろぎ始めると、隣にそっと腰を下ろしたクラウドが、伺うように顔を覗いてきた。
「ん? まだ何かあるのか?」
「訊かないのか?」
「何を?」
「なんでザックスにも言わないでって念を押したのか…」
「あ、そういえば」
律義におずおずと問うてくるクラウドは、少し怯えたような、また安堵しているような、なんとも言いがたい表情をしていた。クラウドが念を押したという事実より、今は彼の表情に込められた気持ちが気になる。クラウドは長い睫毛を伏せがちにし、唇を小さく動かす。
「…キスしてたって言わないで欲しい、なんてお願いしたってザックスに知られたら、俺が嫌がってるって思われるんじゃないかって思ったんだ…」
「…クラウド」
「キスされるのとか、それが嫌なわけじゃないんだ。ただ、人に見られるところで、その…」
その後は口ごもって、うまく言葉になっていなかった。俯いてしまう彼を優しく見つめながら、ザックスはくしゃくしゃとクラウドの金髪を撫でる。
ああ、なんて、なんていとおしい。
「わかってるよ」
優しい声で紡げば、クラウドの安堵した瞳がザックスを見上げる。
「ちゃんと知ってるよ。お前が実は、俺とキスするのすごい好きだってこと」
「なっ…!!」
真顔でからかえば、すぐさま真っ赤に染まる白いかんばせ。途端にむくれる恋人の頭を撫でたまま、ザックスは苦笑しながら謝った。すると簡単に表情が和らぐ。もう、ホントに可愛いなこいつ。
ザックスがひとりで勝手に和んでいると、クラウドが上目遣いに問うてきた。
「ねえ、ザックス」
「どうした?」
「その、良かったら…、俺に夕飯作らせてくれないか」
「えっ! マジか!」
思いがけないクラウドの提案に仰天すると、クラウドがこくっと頷く。そうか、それで今日俺に会おうとしてくれてたのか。
「ザックスには、いつも良くしてもらってるから。何かお返しがしたくて」
「クラウド~!」
あまりに嬉しくて抱きつくと、クラウドが小さく声を上げた。少しは手加減して抱き締めるべきだったろうか。しかし舞い上がったザックスは、思考と反対に腕に力を込める。
「ちょ…っ、ザックス、くるし…っ」
「俺も苦しいよ~、嬉しすぎて胸がはち切れそうだ!」
喜々としたザックスの声に、クラウドが僅かに照れ笑ったのが聞こえた。それがまた嬉しくて、ザックスはクラウドに頬擦りする。
彼は知らない。クラウドがわざわざ料理を作りに来た理由。そしてクラウドが先日取りに来たという、忘れ物の正体。
あの日、ザックスが遅くなったために食べてもらえなかった手料理を、今日こそ食べてもらうのだ。
幕
戦BAの半兵衛と、FF7のザックラにぞっこんフィーバー中。
09/02/19 ブログ始動