すいーと・すいーと
黎が管理・運営しているきまぐれブログです。 初めてお越しの方は、カテゴリー「about」内の「はじめに」という記事をご覧ください。 女性向け要素、同人要素を含みますので、苦手な方はご注意ください。
急げ俺。今日もあんまり時間ないぞ。
朝っぱらから某サイト様の
「髪の毛を黒く染めたクラウド」
に異常に萌えている場合ではない。
(※ザックスとおそろいに見えた)
えー、相変わらずのザックラ更新でございます。
そして、今回はもろに前回の続きといいますか、
26日更新の話の一部分のセフィ視点の話です。
なので、そちらを先にお読みいただけると幸いでございます(礼)
この部分を書いてみたかったのはもちろんなんですが、
実はいっちゃん書きたかったのは最後の1文かもしれません(笑)
先日、同人誌を大量購入(イベントでもない割に)したお陰で、
いろいろと萌えを補充いたしました(笑)
慶半3冊と半幸1冊、あとザックラが…5冊?
次イベント行ったときの自分の行動が怖いです(苦笑)
バーローズ買ったらまた萌え上がるんだろうなぁ。
それまではザックラで繋ぐことになりそうですが…
というか、メジャーな作品のメジャーカプの凄さを思い知る。
やっぱり慶半は、比較的マイナーなんですねぇ(苦笑)
いつまでもぐだぐだしゃべっていても仕方がないので、
お読みくださる方はザックスに迎えられてください(礼)
あの台詞好きなんです…(苦笑)
だからって続きの入り口にするのもどうなんだろう?(汗)
「天然すぱいす」
任務明けでかなり長い時間ぐっすりと眠り、少し図書館にでも行こうかと、セフィロスがソルジャー寮の廊下を歩いていたとき。あり得ないはずの一般兵の姿に、セフィロスは僅かに首を傾げた。
「おい、そこのお前」
響く声を飛ばせば、びくりと震えてすぐさま立ち止まる。相手がセフィロスだと気付き硬直した相手に、コツコツとブーツを響かせながら近付いていった。
「ここで何をしている」
「いえっ…、その」
少し掠れて震えた声。それを聞くなり、セフィロスは珍しくおやと思う。彼の声に聞き覚えがあったからだ。それも、昨夜聞いたばかりの声。
「お前、ザックスの?」
短く問うと、先ほど以上に大きく震える体。やはりそうだ。名前までは思い出せないまでも、目立つ金髪に女のような顔をした少年兵。
「ザックスに呼ばれたのか」
「い…いえ、俺の用で」
「マスクを取れ」
「はっ…はい」
俯いてるためにあまりに少年の声がくぐもっているのが煩わしくて短く命じると、少年は驚きながらもすぐに従う。長めの金髪が、マスクから解放されてぴんと立った。海のような蒼い瞳が、おずおずとセフィロスを見上げる。
「それで、ここになんの用だ」
小柄な少年兵は必然的に見下ろされる恰好になり、緊張しているのが見て取れた。もっともセフィロスとて、全く見当がついていない訳ではない。少年兵が片手に持っている、固く口を縛ったビニール袋。ザックスに何か届けるつもりだろうか。
「その…」
緊張のせいか、色白の肌が少し青くなっている。こういうことは珍しくないとはいえ、セフィロスが対応に慣れているかは別問題だ。はっきり言えば苦手である。それでも、このままでは話が進みそうにないのを感じて、彼なりに気を遣って、なるべく優しく言う。
「叱っているのではない」
いや、実際、用件によっては叱らねばなるまいが。それでも少年兵の気持ちは多少ほぐされたらしく、小さな唇がおずおずと動き出した。
「…ザックスの部屋に、忘れ物をしてしまって…」
「そんな物、仕事を終えてから取りに来れば良かろう」
ザックスの恋人であるこの少年は、確かにソルジャー寮に来ていることが多い。ザックスが頼み込んで許して貰っているようだ。かといって、仕事中にまでこんなところに来ていいはずはない。セフィロスは地位とか立場にこだわる方ではないが、けじめというものは存在する。
少年兵にも一応自覚はあったようで、全身を小さく縮めてしまう。まぁ、その忘れ物とやらは無事に回収し終えているようだし、これ以上追及する理由もない。セフィロスは内心少々呆れながら、少年兵に短く告げる。
「用が済んだなら行け。二度は見逃さん」
ところが少年兵は、おずおずとセフィロスに話しかけてきた。
「あ…あの…」
「どうした」
まだ何か用があったのか、と応じると、少年兵は困り果てたような顔をして、じっと上目遣いにセフィロスを見上げている。先ほどまでは緊張のしすぎで青ざめていた肌が、なぜか少し赤らんでいた。セフィロスは内心、密かに首を傾げる。
「ひとつだけ、お願いがあって…」
「なんだ」
意外な申し出ではあったが、聞く前から断る理由はない。セフィロスがあっさり応じたことに安堵しているのが見て取れた。そして緊張で全身を固めたまま、少年兵は言葉を続ける。
「き、昨日のこと、誰にも言わないで欲しくて…」
「昨日?」
「その…、お、俺たちが、セフィロスさんの前で、その…」
「ああ」
口ごもりながらの言葉で思い出し、我知らずセフィロスの口もとが笑んだ。昨夜、セフィロスが共に任務に行っていたザックスと寮に戻ってきたとき、彼と話をしながら戻ってきたため、たまたまザックスの部屋の前まで一緒だった。そしてザックスの部屋には、恋人の帰りを待っているこの少年がいた。恋人が起きて待っていてくれたと知ったザックスは、セフィロスがそばにいるにも関わらず、喜びのあまりその場でキスをしたのである。とはいえ少年のほうは、セフィロスにキスを目撃されたのが余程恥ずかしかったらしく、セフィロスが立ち去ったあとでザックスに殴りかかっていたようだった。あまりにうぶな少年の反応に、セフィロスはひとり微笑ましく感じたものだ。
「そんなに恥ずかしかったのか」
微笑混じりに問うてやれば、少年は顔を赤く染める。これではザックスが「可愛い可愛い」と惚気まくるのにも納得がいくというものだ。
「お、お願いします、セフィロスさん」
「恋人同士、キス程度で何を照れることがある」
「だっ…だって、人前であんなことするなんて、なんかっ…」
少年は段々必死になってきた。こんな顔をされてしまうと、ちょっかいを出したくて仕方なくなる。
「では、ザックスに二度とキスなどするなと頼んでおけばいい」
「!!」
「お前が嫌がっているとわかれば、ザックスもあんな破廉恥なことはしなくなるだろう」
少年は何かを言おうと口を動かしたが、言葉が紡がれることはない。ただ、うろたえ、視線がセフィロスから逸らされたままとどまった。
「…俺は、そんな…」
小さく漏れた言葉を聞き取り、セフィロスはくすりと笑う。勿論、彼がキスそのものを嫌がっているのではないことくらい分かりきっていた。すっかり表情を固くしてしまった少年の姿に幾許かの罪悪感を覚え、無意識に優しい声を紡ぐ。
「冗談だ。…それに、キスそのものは満更でもないのだろう?」
「…お願いします、誰にも…」
「ああ、わかった」
唇には優しい笑みが浮かんだままだ。セフィロスに自覚などなかったが、彼にとってこの少年は、親友の弟のような存在であるザックスの恋人という、全くの他人とは思えない存在なのだ。言葉を交わしているうちに、なんだか心が温かくなっていた。まるで保護者のような心境である。
「お前が俺にそんなことを頼んだと知ったら、ザックスはうろたえるな」
「えっ」
「あいつには、お前は自分のものだと見せつけたい気持ちがあるようだ」
少年を喜ばせるつもりで言ったが、予想外にも少年は視線を逸らす。どうした、と問おうかと思っているうちに、少年が顔を上げた。
「さっきの話、ザックスには絶対に言わないでください」
「ほう?」
思わぬ申し出に、セフィロスの唇が笑む。
「これからも人前でキスされたいのか」
「ちっ…違うっ、そうじゃなくて」
「では、何を知られたくない?」
「…俺がセフィロスさんに、あのことを誰にも言わないで、なんて頼んだって知れたら、ザックスは…」
少し俯いて言ってから、少年は再び顔を上げた。必死な様子で訴える様は、どこまでもうぶで可愛らしい。
「俺はザックスのすることが嫌なわけじゃない、ただ、人前であんなことをされたのが恥ずかしかっただけで…。でも」
「フフッ、嫌われたくないか」
それは直感だったが、そのひと言で真っ赤になった少年を見れば、答えなど聞くまでもない。この少年は、本当にザックスのことが好きで好きで仕方がないのだろう。まだまだザックスの隣に堂々と立つだけの勇気はなく、それでもザックスを失いたくなくて、嫌われたくなくて。顔を隠すようにマスクに顔を埋める様は、少年のうぶな恋心を赤裸々に表していた。
「わかった、約束しよう。ザックスにも絶対に言わない」
そっと囁いてやると、少年は僅かに頷いた。とはいえ、初めから俯いていたため、本当に僅かでしかなかったが。セフィロスは戯れに少年の頭に手を伸ばす。意外とさらりとした髪に触れると、慣れていないのか少年の肩が反応した。
「そんなに心配せずとも、ザックスはお前が思っているよりずっとお前に夢中になっている。安心しろ」
少し顔を寄せて囁いてやれば、ますます赤く染まる色白の頬。からかう気のない真摯で優しい声音に、少年が安堵したのが感じ取れた。
その時、話題に上っていた張本人の声が飛んできた。
「よう、クラウド! なに話してんの?」
びくりと跳ね上がって少年が振り向く。そうか、こいつはそういう名前だったか。いつもの悠々とした態度で近付いてくるザックスは、はっきり言って、少年――クラウドがセフィロスとどんな話をしていたのか、とにかく気になって仕方がない、というオーラが全開になっていた。一方、思いがけず恋人が目の前に現れたクラウドは、先ほど耳にしたばかりの言葉のせいもあろう、ついに耳まで赤くなる。
「ざ、ザックス」
「珍しいな、セフィロスになんか用だったのか?」
「いや、大したことじゃないんだ」
「それにしちゃあ、随分と赤い顔してるけど?」
当の恋人に指摘されて、クラウドが思い切り身を縮めた。そんな様子がいとおしくて、セフィロスは静かに助け船を出してやる。
「クラウド、時間は大丈夫なのか」
いきなり名前を呼ばれたことに驚きながらも、クラウドははっと我に帰る。どうやら仕事中なのを失念気味だったようだ。
「あ…、もう戻らないと! ザックス、ごめん、また!」
「おい、待てよ」
慌ててマスクを被ったクラウドには、ザックスの不愉快な表情は見えなかっただろう。ザックスが手を伸ばして引き止めようとするのを、セフィロスはすっと止める。
「行かせてやれ。叱られるのはこいつだぞ」
「あ、ありがとう、セフィロスさん」
我に帰ったクラウドの行動は早く、ザックスの顔も見ずに行ってしまう。もしかしたら、単に恥ずかしくて見れなかっただけかもしれないが。
クラウドの姿が廊下の先に消えると、遠慮なく不機嫌な声が聞こえてきた。
「…で? なんの話してたんだよ」
「誰にも言うなと言われている」
互いに相手の一挙手一投足が気になって仕方のない恋人たちが微笑ましくて、セフィロスは唇に笑みを浮かべたままに答える。するとザックスが、セフィロスの行く手を遮るかのように彼の前に立った。
「あいつは俺の恋人だぞ? 聞く権利はあるんじゃないのか」
「それはお前の都合だな。俺はあいつとの約束を優先する」
「俺にも言うなって?」
「ああ。ザックスには絶対に言わないでくれ、と念を押された」
クラウドのうぶな真意も知らずに、ザックスはますます口を曲げる。先ほどの恋人宣言といい、やはりザックスはクラウドを独占しておきたいのだ。可愛い奴らめ、とセフィロスは忍び笑った。
その数日後、盛大に勘違いしていたザックスが食堂で騒ぎを起こしたのを視界の隅に収めたセフィロスが、ひとり罪悪感に苛まれたことを知る者はいない。
幕
戦BAの半兵衛と、FF7のザックラにぞっこんフィーバー中。
09/02/19 ブログ始動