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すいーと・すいーと

黎が管理・運営しているきまぐれブログです。 初めてお越しの方は、カテゴリー「about」内の「はじめに」という記事をご覧ください。 女性向け要素、同人要素を含みますので、苦手な方はご注意ください。

2024.05.19
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2009.04.07

入学式ですかね? 

私は4年間の間、4月頭の入学式を見てきたので、
高校までの入学式がいつ頃だったかなんてきれいに忘れました…

なんでこんな話をしてるかといいますと、
今日アップするSSで、
高校の入学式ネタを使っているからなんですね。
それもあって、日曜にアップしなかったんです。
まぁそれがメインではないので、多少ずれても構わないのですが。

今日アップする小話は、DFFの学生パロ設定
お天気トリオのお話です。
ちょっと前に薫からリクエストをもらって以来散々悩み、
入社式の朝に思いついて一気に書き上げたのでした(駄)
因みにきっかけは、その当日の天気でした…(苦笑)
一応クラティー前提ではありますが、
普通にふたりは友達のように思っていただいてもまったく問題ないというか、
これでカプだという方が詐欺のようなふたりです←
いえあの、今これの続きを書いてるんですが、
そっちではしっかりカップルしてるので、一応…;
クラティーですがクラティーを期待してご覧になるとがっかりします(汗)

因みに続きというのは589トリオのお話でして。
両方書いてみて、とりあえず気の毒なくらいに実感。
うちのスコたんはお天気トリオのほうが幸せなんだと…
いやあの、こっちは一緒にいるふたりが揃って天然なので!(汗)
てか、クラって天然でしたっけ…? 
CCのイメージがあまりにも強くて、すっかり天然イメージなんですが;
そしてなぜスコールを「スコたん」と呼ぶようになったのかが未だに謎。
KHですらレオンたんと呼ぶ始末。ホントなんでだったっけ…? 

それでは、前置きがやたらと長くなりましたが、
お読みくださる方はどうぞ続きにお進みくださいませ! 

はっ…バーローズ発売記念の話でも書けばよかった…!! 
(ここでいうか)




 


「雨、ときどき晴れ」


「…雨だな」
「雨ッスね~」
  スコールがぽつりと呟くと、後ろからティーダが空を見上げる。窓の外では、ぴしゃぴしゃと冷たい音が響いていた。
「今年くらいは晴れても良かったのに、気が利かないよなぁ」
「……」
  スコールに反論の言葉はない。今日は入学式、スコールとティーダにとっては、コスモス学園に入学以来、初めての後輩を迎える日である。この寮にも既にたくさんの新入生が入っていて、彼らのことを思うと気の毒であった。
「おい、ふたりとも手伝ってくれ」
「うっす!」
  背後からの声にスコールが振り向くと同時、ティーダが元気良く答える。スコールは頷くこともなく、声をかけてきた張本人、クラウドのもとへと歩き出した。クラウドは山のような食器類を両手に持っている。小柄な体格に似合わず力持ちな彼から皿の山をひとつ受け取ると、スコールは大きなテーブルに並べ始めた。フォークを並べるのはティーダの仕事、片手の空いたクラウドもスコールと一緒に皿を並べ始める。
  この3人が初めて出会ったのは、ちょうど去年の今頃だった。大学附属のコスモス学園高等部に入学し、スコールとティーダはたまたま一緒にこの寮までやってきた。その際に面倒をみてくれたのが、当時大学2年に進級したてのクラウドだったのだ。クラウドも高校からコスモス学園に通っていたので、寮での暮らしや高校のことなど、初日からいろいろと教えてくれた。そのままなんとなく一緒にいることが多くなった3人の日課は、寮生全員分の朝食の準備である。といっても料理を作るのではなく、食器類を並べて寮母さんたちの手料理を盛り付け、最後に食器を片付けるのが3人の仕事だ。なぜこの3人の日課になったかというと、単にミーハーな寮母さんに気に入られてしまった…という、ただそれだけの理由だったのだが。とはいえ毎日そうして一緒に日課をこなしていれば、仲良くなるのも必然であり、いつの間にか周囲から「お天気トリオ」とひと括りにされていた程である。因みに、安易な、と溜め息を吐いたスコールの横で「いい名前だろ?」と笑ったのは、クラウドのすぐ下の学年に当たる、チョコボ好きの某先
輩であった。
  こうして一緒に朝を過ごすようになって丸1年、3人はいつも通りに雑談をしながら食器を並べていた。
「今年も相当な雨男がいるみたいだな」
「ホントッスよね~。2年続けて雨の入学式って珍しいんじゃないッスか?」
「ああ、確かに珍しい」
「……」
  仲良く話すクラウドとティーダの間に、スコールは口を挟めない。なんだか厭味を言われているようだ。勿論ふたりには、そんな意思などないとわかっているのだが。
  去年の入学式も、結構な雨に見舞われた。誰よりもそれに驚いていたのはティーダだ。彼は相当な晴男らしく、行事の日に雨に降られたことなどなかったらしい。が、一方のスコールはといえば、残念ながら物凄い雨男。「オレに勝つなんて、すごいッスね!」と目をキラキラさせられては言葉も出なかったが、純粋なティーダや天然なクラウドの他意のない言葉が、やはり厭味に思えてしまうのである。
「早く済ませて、行ってやろう」
「うっす!」
  そう続いたふたりのやり取りには、スコールも素直に頷いた。


             *          *          *


  一度ティーダが自室に戻ってから、3人は傘をさして寮を出る。といっても、寮の裏にある細い路地に行くだけだ。人通りも少なく、既に機能を停止した物置小屋がそこにある。もとは寮の物だったそこに辿り着くと、スコールは壊れた引き戸をそっと開いた。
  すると、待っていたかのように聞こえてくる、小さな鳴き声がひとつ。
「…さみしかったか、悪かったな」
  自分の足下にすり寄ってきた小さな子猫を、スコールは大きな手で撫でてやる。甘えてもうひと声鳴いた子猫を見ながら、ひょいとしゃがんでティーダが言った。
「ごめんな、遅くなっちゃって」
「早くミルクを入れてやれ、腹を空かせてるんだろ」
「そうッスね!」
  傘を閉じて入ってくるクラウドの声に、ティーダが自室から取ってきたミルクをお椀に注いでやる。その気配を察した子猫は、スコールの手を離れてティーダのもとに駆けていった。よほど腹を空かせていたのか、夢中になってミルクを舐め始める。
「よーしよし、うまいッスか?」
  にこにことティーダが言うと、耳を触られた子猫がミィと鳴いた。どうやらご機嫌のようだ。思わず笑みを浮かべながらクラウドを見れば、彼も優しく微笑んでいる。
  この子猫を見つけて拾ってきたのはティーダだった。
  生まれて間もなく捨てられたらしい子猫は、ティーダが寮に連れ帰ってきた時点ですっかり弱っていた。泣き付かれたスコールは最初ミルクをやろうと考えたが、それすら受け付けないほど子猫は弱っていた。それを察したクラウドが近くの動物病院に駆け込んだことで、なんとか子猫は一命を取り留めたのだが、寮はペット厳禁で、なかなか引き取り手も見つからない。子猫が退院する段になっても引き取り手は現れず、3人は意を決して、この空き家で子猫を飼うことを決意したのであった。もともとティーダはかなり感情移入していたし、それはスコールやクラウドも似たようなものだった。幸い、寮母さんもこの子猫を心配してくれていたので、見て見ぬふりをしてくれている。
  今や3人にとって、この子猫はかけがえのない大切な存在ともいえるくらいになっていた。
「へへっ、そっか、うまいか! 良かったッスね!」
「ティーダ、そろそろ時間だ」
  時計を見ながらやむなくスコールが言うと、ティーダが「えぇぇ~っ」と嘆きの声を漏らす。本当はスコールだってもう少しここにいたいが、それは遅刻をしていい理由にはならない。子猫のほうも、ここ数日3人とも慌ただしかったためにあまり構ってもらえず、寂しかったであろうことはわかっている。スコールが無言でもどかしくしていると、クラウドがティーダの肩にぽんと手を置いた。
「今日は俺がこいつのそばにいる。安心して行ってこい」
「……」
  ティーダが渋るのも、子猫を寂しがらせるのは可哀想だと思っているからだとわかっている。やがてティーダは、クラウドを見上げてこっくりと頷いた。
「じゃあ、オレも今日はさっさと帰ってくるッス!」
「ああ、それがいい」
「……フッ」
  思わずスコールの口から笑みが零れる。子猫が寂しい思いをせずに済むのは、スコールにとっても嬉しいことだった。
「よーし、じゃあ今日は、終わったらすぐにスコールのこと迎えに行くからな!」
「…俺は生徒会の仕事が」
「なーに言ってるんスか、スコールもこいつに会いたがってたくせに!」
  満面の笑みで言われては、うまく反論できない。そんなふたりの様子を見ながら、クラウドがおかしそうに笑っていた。
  スコールの足下にすり寄りながら、子猫が甘えた声で鳴いた。


                                          幕

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戦BAの半兵衛と、FF7のザックラにぞっこんフィーバー中。

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