すいーと・すいーと
黎が管理・運営しているきまぐれブログです。 初めてお越しの方は、カテゴリー「about」内の「はじめに」という記事をご覧ください。 女性向け要素、同人要素を含みますので、苦手な方はご注意ください。
思い立ったが吉日、やっぱり慶半1本アップしちゃいます。
だって作品置かなきゃサーチに登録できない…
というか、続きにどれくらいの長さを放り込めるのか謎です。
だ、大丈夫かな…?(汗)
サイトを始める前から大量に話を書いていたので、
それらを順繰りとアップしていく形になると思います。
続きに小説を置いておきます。CPは慶半、題は「花占い」。
今現在ここに来てくれてるお友達はもう知ってる話かな?(笑)
秀吉のところに半兵衛が来て、ちょっと経った頃の話です。
要するに友垣時代です。
まだどちらも想いは告げてないけど、その割にはいちゃついてます(苦笑)
友垣時代の慶半話はいっぱい書きました。
そのほうがほのぼので好きなんです…甘くて、でもちょっと寂しい。
あ、この話は甘いだけです(爆)
あぁぁ、うちのCP傾向を書くのを忘れている…半兵衛がデレデレだという重要事項を!!!
あ…あと、半兵衛が妻帯者設定です。
この話をチョイスしたのは、私らしい慶半といったらとりあえずこれかな、と思ったこと、
あと単に半幸でよさげな話がなかったからです(爆)
とりあえずそんな感じです(どんな感じだ)
よろしければ続きにお進みくださいませ。
「花占い」
好き、嫌い、好き、嫌い、好き、嫌い、好き、嫌い……。ぷつぷつと音を立てながら、一枚ずつ花びらをむしっていく。少しずつ減っていく花びらに、自然と胸が高鳴った。あくまで占いは占いよ、と、その程度の気持ちで手にした花が、今は妙に手を震わせる。やらなければ良かったか。いや、かといって今更やめたら、逆にろくでもないことになりそうだ。好き、嫌い、好き、嫌い、好き、嫌い……
「何をしているんだい?」
「うわっ!!」
予想だにしなかった背後からの声に、慶次は盛大に飛び上がった。花占いに集中しすぎて、全く気付いていなかったのだ。声をかけたほうもここまで驚かれるとは思っていなかったようで、珍しくきょとんと目を丸くしている。
「そんなに驚かなくても」
「あ、いやぁ、悪い悪い」
「別に謝ることでもないと思うけどね」
「あぁ、うん、まぁな」
「ふふっ、どうしたんだい。らしくないね、慶次君」
半兵衛は苦笑混じりに言いながら、慶次の隣に腰を下ろす。ここいらで一番の大木の下、木の葉に遮られる陽の光の代わりに、半兵衛の温もりが心地よい。彼がこんな態度を取るのも珍しいことだった。普段ならば滅多に家から出てこないし、寸暇を惜しんで仕事に追われているのが常だというのに。
「らしくないのは、あんたこそじゃないのかい?」
「そうかい?」
「いつものあんたなら、こんなとこ出てきそうにねぇけど?」
「こんなところってなんだい。僕だってたまには息抜きくらいするさ」
半兵衛がまた苦笑して、小さく肩を揺する。微笑んだ顔が女の子みたいで、なんだか胸が高鳴ってしまう。慶次は胸の奥に秘めた思いを隠すように、そりゃあそうか、と大袈裟な仕種で言ってみた。それを見た半兵衛が、またも苦笑して肩をすくめる。半兵衛も最近では、慶次はこういう性格なのだと認識したらしく、初めて会った頃のように妙な視線を送ってくることもなくなっていた。
半兵衛と出会ったのは、もう三月も前のことになるだろうか。暫く会っていなかった親友の秀吉に久しぶりに会いに行ったところ、彼の家で居候を始めていたのが、この竹中半兵衛という青年だった。日ノ本には珍しい白銀の髪、そして柔らかな物腰に、慶次は何か不思議な感覚に陥って、初対面で挙動不審をやらかしたのである。人好きのする慶次にしてはかなり異例の事態、あとで振り返ってふと気付いたのは、半兵衛のことを考えるたびに高鳴っている、己の胸の鼓動だった。美しい人ならばたくさん知っている慶次から見て、半兵衛は女性的な美しさを持つ面立ちをしていて、もしかしたらそれも慶次の思慕の原因だったのかもしれない。そのうちにはっきりと自覚した。俺は、この男に惚れたのだ、と。
もっとも初めのうちは、半兵衛は傾き者の慶次を不思議そうな目で見ていたので、友達になれるかどうかも怪しいという有様だった。別段、それで嘆いたりする慶次ではないが、それでも地道に話しかけたりして、最近ようやく友達らしい振る舞いをしてもらえるようになり、単純に喜んだのも事実である。この一喜一憂は紛れもなく恋だろうと、今更ながら改めて認識して胸を高鳴らせる慶次だったのだが。
「それで? 君は一体、何をしていたんだい?」
そんな問いかけに素直に答えられるほど、慶次は愚直ではない。
「そんな無粋な問いかけには、答えたくないねぇ」
だって、あんたに好いてもらえるかどうか占ってたんだもんよ。とは、心の中での独り言である。
半兵衛はさして興味もないのか、特に変わらず微笑んだままで聞いていた。薄桃色の唇から「ふぅん」と息が漏れ、それがまた慶次の胸を高鳴らせる。こいつ、俺の気持ち知っててこんなとこに座ったんじゃないだろうな、などと思いながらも、何とか表情だけは平常を保とうとした。初めから期待などしていない。下手な期待をかけるよりも、友達として仲良くしていたかった。
半兵衛は、相変わらずの表情のまま、慶次の手元を見ながら問うてきた。
「さしずめ、花占いってところかい?」
「ちぇ、他になんに見えるって? わかってるなら聞かないでくれよな」
「それは失礼したね。でも、興味がないといえば嘘になる」
「へ?」
どきっと胸が飛び上がる。思いがけない言葉に目を丸くした慶次に、半兵衛がいたずらっぽい視線を送ってきた。なんだか意味深な視線だ。慶次はますます胸を高鳴らせ、内心かなりうろたえ始めていた。こいつ、本当に、俺の気持ち知ってるんじゃないのか。ちょっと待ってくれ、そんな、心の準備ってもんが。
「君、誰かに惚れているんだ?」
だから、それをあんたに言われたくない。
半兵衛は妙ににやにやとしている。他人の恋をからかう少年の表情に、慶次は気恥ずかしいような、少し悲しいような、複雑な気分に陥ってしまった。これで相手が秀吉ならば笑い話だが、よりによって相手は、慶次が惚れている張本人なのである。しかも半兵衛の意図が全く掴めないだけに、歯がゆくてたまらない。
そんなことを心の中で一瞬にして思い巡らせていた慶次は、がしがしと頭をかきながら答えることにした。知られていようが知られていまいが、もうどっちでも構わない。
「んだよ、別におかしいことじゃねえだろ?」
「ふふっ、まあね」
「俺に言わせりゃあ、あんたがそんなことに興味を持つことのほうが意外だけどねぇ。あんたは、好きな人とかいるのかい?」
半ばやけっぱちで慶次が聞くと、半兵衛が相変わらずの表情で慶次を見る。そして、何のこともなさそうに口を開いた。
「これでも妻がいる身だよ。そういえば、まだ言ってなかったかい?」
「へぇ、そりゃあ初耳だね」
単純に少し驚いたが、彼の身の上を考えれば不思議でもなんでもないことだった。こいつの奥さんかぁ、などと考え込み、そしてすぐに打ち消した。夫婦は特別なものだ。秀吉とねねのように、或いは慶次の叔父夫婦のように、誰も彼もが幸せな家庭を築けるとは限らないのが悲しいものなのである。結婚は、時によっては政でしかないこともある。そんなことに口を突っ込むほど、慶次は野暮ではない。別に、半兵衛のことが好きだから考えたくないとか、そういうわけではない。多分。
慶次が結局ごちゃごちゃと考えていると、半兵衛は再び慶次の手の中のものに視線を落とした。そして、占いか、とひとりごちる。
「ん? あんたも奥さんとのこと、占ってみるか?」
「いいや、結構だ。そんなことのために摘んでしまっては、花に申し訳が立たないからね。僕が興味があるのは、君の占いの結果だよ」
「え、なに、そんなんに興味あんの? あんたも酔狂だねぇ」
「秀吉から聞いているよ。君はいつも、恋はいいものだと豪語しているそうじゃないか」
意外な名前を言われて、慶次はぐっと押し黙った。秀吉が慶次の片想いに気付いているのかどうかは怪しい。気付いていなければ、余計なことでも語ってみせるだろう。何せ秀吉にとっての半兵衛は、ようやく見つけたかけがえのない同志なのだそうだから。
「君の幸せとやらを分けてもらいたいな」
「…それはいいけど、まだ終わってねえよ?」
「じゃあ早く続きを」
「わかったよ、急かすなって」
なんだか半兵衛が楽しそうなのが気になった。意外と半兵衛も、この手の話が好きなのだろうか。半兵衛のこんな表情を見るのは初めてだ。そんなことを思いながら、慶次は少なくなった花びらに手をかける。隣の半兵衛が覗き込んできたので、ますます緊張感が高まってしまった。
「好き…嫌い…好き……嫌い……」
ぷつぷつと花びらをむしっていく。ああ、やっぱりこんなことしなければ良かった。誰が予想しえたであろうか、肝心の思慕の相手が、隣で占いの結果を楽しみにするような事態に陥るだなんて。顔が熱くてたまらない。頭の中が白くなる。花びらがみるみる減っていく。花びらがみるみる減っていき、慶次の胸がどくどくと高鳴る。
慶次の手の動きが鈍くなったのは、それとほぼ同時のことだった。
心臓の音が耳にまで届く。
「…好き……きらい………」
最後の、一枚。それを、ぷつんとむしった。
「……好き」
半兵衛が、ぽつりと付け加えた。
幕
戦BAの半兵衛と、FF7のザックラにぞっこんフィーバー中。
09/02/19 ブログ始動